
2023年3月以来、3年半ぶりに日本代表の世界ランキングが1桁台になりました。9月19日、東京・秩父宮ラグビー場でパシフィックネーションズカップ(PNC)決勝が行なわれ、日本は9位(当時)のフィジー代表を20対15で破り、7年ぶり4度目の優勝を果たしました。この結果、日本は9月21日付けのランキングで前週の12位から9位に浮上しました。
フィジー戦から一夜明けた20日、エディー・ジョーンズヘッドコーチ(HC)は都内で会見に臨み、7月から9月までのテストマッチ8戦を、こう総括しました。
「結果を見れば、ランキングで日本より上にいるイタリア代表とフィジー代表の2チームに勝つことができました。これはチームにとって大きな成果。またスコッドの層を厚くすることができました。フォワードだけを見ても、複数のキープレーヤーが負傷などで不在でした。紙森陽太、江良颯、為房慶次朗、ワーナー・ディアンズ、タイラー・ポール、ファカタヴァアマトもスコッドに参加できなかった。そうした状況の中でも、選手層を厚くし、各ポジションの競争を激化させることができました。それは非常にポジティブなことです」
フォワードの充実ぶりを口にする一方で「まだ層を厚くしなければならないポジションもあります」と課題も述べました。懸念材料はウイングです。
今年、ここまでの8試合で石田吉平選手、植田和磨選手、メイン平選手、木田晴斗選手、矢崎由高選手、イノケ・ブルア選手、長田智希選手の7人が先発で起用されました。しかしケガやコンディション不良等もあり、このうちの誰かが定着するまでには至っていません。これまでのテストマッチでも、ハイボール処理に苦戦するケースが散見されました。
「現在のチームにはない、際立ったスピードを持つ選手が必要です。どこかにそのような選手がいるなら、ぜひ教えてください」とはエディーHC。
ウイングのコマ不足は、19日のフィジー戦を見ても明らかです。15対15の28分、フルバックのサム・グリーン選手が負傷により交替を余儀なくされました。しかしリザーブにはエセイ・ハアンガナ選手ら3人のフォワードしか残っていませんでした。
ここでグリーン選手に代わって投入されたハアンガナ選手がフランカーのポジションにつきます。玉突き式にウイングとして後半26分に投入されていたティエナン・コストリー選手がフルバック、フランカーの下川甲嗣選手がウイングに回りました。
コストリー選手はフルバック未経験、下川選手は「中学生以来」のウイングというスクランブル出動でした。
それでも日本はセンターのサムソニ・トゥア選手のトライで勝ち越しに成功します。終了間際には下川選手が相手をタッチライン外に押し出すビッグタックルを披露し、日本は20対15で逃げ切りました。
懸案のウイング陣、リーグワンに目を向ければ、候補はいます。25-26シーズン、リーグワンで13トライのハラトア・ヴァイレア選手、12トライの竹山晃暉選手、11トライの尾崎泰雅選手、8トライの高橋汰地選手。またシーズン途中にケガから復帰したジョネ・ナイカブラ選手、23年W杯フランス大会以来、代表から遠ざかっているW杯3大会連続出場の松島幸太郎選手もエディーHCの視野には入っているはずです。
もともと日本は、ウイングに関しては人材豊富でした。“空飛ぶウイング”と呼ばれた坂田好弘さん、テストマッチ69トライの大畑大介さんはワールドラグビー殿堂入りを果たしています。
日本が初めてW杯でベスト8入りを果たした19年の日本大会では“Wフェラーリ”こと福岡堅樹さんと松島選手が2人で9トライをとりました。当時のHC、ジェイミー・ジョセフさんが「Wフェラーリ」と名付けたのは記憶に新しいところです。
「大学生でも、速くてトライがとれる選手がいれば発掘したい」とエディーHC。指揮官がそう言うからには、我こそは、と名乗りをあげてもらいたいものです。
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