世界最高峰リーグのスーパーラグビー(SR)に参戦する日本チーム、ヒト・コミュニケーションズ サンウルブズの4シーズン目が終了しました。結果は2勝14敗で最下位。1年目1勝、2年目2勝、3年目3勝と、1勝ずつ上積みしてきたサンウルブズですが、W杯イヤーの今シーズン、一歩後退となりました。
今シーズンはジャパンのアタックコーチ、トニー・ブラウンさんがヘッドコーチ(HC)に就任したことで、ジャパンとの連動性が期待されました。
第3節、敵地ニュージーランドでチーフス相手に今季初勝利を挙げました。SR参戦4年目にして初のアウェー戦勝利でした。第7節にはオーストラリアのワラタスを撃破。チーフス、ワラタスはいずれもSR優勝経験のある強豪です。前半戦は2勝7敗。負けた試合の中にも光る部分はあり、過去最多の“3勝超え”が見えていました。
しかし、後半戦は全敗と苦戦を余儀なくされました。完封負けは2試合もあり、今シーズン、ホームでは1勝もすることができませんでした。ブラウンHCは「タフなシーズンだった。最後の5、6試合はトップ選手を使えなかった」と渋い表情で語りました。
以下はサンウルブズの運営団体であるジャパンエスアール渡瀬裕司代表理事CEOの総括コメントです。
<シーズン最初から想定外の怪我人が続出しましたし、その影響で新たな戦力の補充にも苦心しました。スーパーラグビーにおいて重要なのは、その時点でコンディションが一番良い選手を起用することです>(「ジャパンエスアール」2019年6月21日リリース)
当初はジャパンの主力もSRでプレーする予定でしたが、フランカーのリーチ・マイケル選手、ナンバーエイト姫野和樹選手、ウイング福岡堅樹選手らが故障し、今シーズンはサンウルブズでプレーすることなくシーズンを終えました。
今シーズンの登録選手は70人。参入4シーズン目で最多の人数です。出場選手59人は他チームと比べても多いものでした。
その結果、今シーズンのサンウルブズはなかなかチームを熟成させることができませんでした。イエローカードの数は全15チーム唯一の2桁(10枚)を記録しました。規律が保てなかった証拠です。
これについて、渡瀬CEOの見解はこうです。
<我々マネジメント側が、One Teamを徹底出来なかった事に責任があると感じています。前述した怪我人による選手招集、そしてSANZAAR(※SRの統括団体)による決定など、チームを揺るがす想定内のことがあまりに多く、まとめきれなかった事に対して責任を感じております>
結束がモノを言うラグビーにおいて「One Team」を徹底できなかったことが致命傷となりました。ブラウンHCがチームを離れたこともマイナスに働きました。
<今年はワールドカップイヤーということもあり、「日本代表の準備のため、トニー・ブラウンは一時的にチームを離れ、スコット・ハンセン アシスタントコーチがヘッドコーチ代行として指揮を執る」という事を、2019シーズン当初よりアナウンスさせていただきました。しかしながら、その準備には相当量の時間がかかってしまったのは事実であり、またヘッドコーチ不在のままSRのシーズン開始を迎えたことが、想像以上の影響を与えてしまったのは事実です>(渡瀬CEO)
期待はずれに終わったサンウルブズですが、プラス材料がなかったわけではありません。今月3日に発表された42人の代表候補に名を連ねるスクラムハーフ茂野海人選手、プロップ山下裕史選手、フルバック山中亮平選手らはサンウルブズで鍛えられた選手たちです。また開幕直前にサンウルブズに加わったロックのトンプソン・ルーク選手も、チーフス、ワラタス戦などのパフォーマンスが評価され、ジャパンに呼び戻されました。
さらに言えば、未来のジャパン候補の活躍も目立ちました。スタンドオフのヘイデン・パーカー選手(ニュージーランド出身)、ウイングのセミシ・マシレワ選手(フィジー出身)は日本大会には間に合いませんが、4年後のフランス大会までには日本代表資格を得ることが可能です。正確無比のプレースキッカーのパーカー選手は得点ランキング7位、トライゲッターのマシレワ選手はトライランキング2位タイと、低迷するチームの中で奮闘しました。そう遠くない将来、桜のジャージーを着ることになるかもしれません。
データが取得できませんでした
以下よりダウンロードください。
ご視聴いただくには、「J:COMパーソナルID」または「J:COM ID」にてJ:COMオンデマンドアプリにログインしていただく必要がございます。
※よりかんたんに登録・ご利用いただける「J:COMパーソナルID」でのログインをおすすめしております。