ブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズ、そしてアイルランド代表と戦うために乗り込んだジャパンの欧州遠征は2連敗に終わりました。しかし内容はよく、ジェイミー・ジョセフヘッドコーチ(HC)は「ポジティブな結果が出せたと思っている」と手応えを口にしました。
2戦目のアイルランドはスクラムハーフのコナー・マレー選手、センターのバンディ・アキ選手ら主力8人がライオンズに選出された関係でベストメンバーではありませんでした。それでも代表通算75キャップを誇るフランカーのピーター・オマホニー選手を筆頭に、キャプテンでロックのジェームス・ライアン選手、ウイングのジェーコブ・ストックデール選手ら2019年W杯日本大会で対戦した時のメンバー8人がスタメンに名を連ねました。
対するジャパンは前週のライオンズ戦からスタメン3人を入れ替えました。ナンバーエイト姫野和樹選手、スクラムハーフ齋藤直人選手、この試合が代表初キャップとなるウイングのセミシ・マシレワ選手――。
あろうことか、姫野選手がウォーミングアップ中に負傷し、急遽リザーブのテビタ・タタフ選手がスタメンに繰り上がりました。
「勝てた試合に負けてしまった」
キャプテンでフランカーのリーチ・マイケル選手の悔恨のコメントです。
前半4分、スタンドオフ田村優選手のペナルティーゴール(PG)で、ジャパンは幸先良く先制します。4分後に1トライ1ゴールで逆転を許したものの、11分にはラインアウトからのモールでリーチ選手がトライを奪います。
後半17分、齋藤選手のトライなどでジャパンが31対33と2点差に迫りましたが、最後は2本のPGで突き放され、31対39で敗れました。
とはいえ、世界ランキング4位のアイルランド相手に敵地でこのスコアは上出来です。
アイルランドを右往左往させたのは司令塔・田村選手の右足です。前半36分、センターのラファエレ・ティモシー選手のトライは、彼のキックパスが起点となりました。左サイドに大きく展開したパスは、ウイングのシオサイア・フィフィタ選手が捕球しやすい軌道を描きました。最後はフィフィタ選手からパスを受けたラファエレ選手がインゴール左に飛び込みました。
後半3分、今度は敵陣左サイドにできたラックでボールを拾うと、警戒の薄いタッチライン際を突破。相手のプレッシャーをかいくぐり、右足のグラバーキック(グラウンダーのキックパス)で内側を走る11番に絶妙のパス。フィフィタ選手の代表初トライを演出しました。
J SPORTSで解説を務めたキヤノンイーグルスの沢木敬介監督は「まさかの(田村)優のピック&ゴー。いい判断。こういうキックは本当に上手いですからね」と舌を巻いていました。
「日本で彼に並ぶ選手はいない。ビッグゲームプレーヤーなので、相手が強くなればなるほど、いいパフォーマンスを出す。今のところ彼に代わる選手はいないというのが現状」
そう語ったのは藤井雄一郎ナショナルチームディレクター。ビッグゲームプレーヤーとは、田村選手にとって最高の褒め言葉でしょう。
いうまでもなく、ラグビーはボールを前に投げることはできません。しかし、前に蹴るのは自由です。ただし、その精度が低ければ、みすみす敵に渡してしまうことになります。
多少のリスクはあるものの、決まれば敵に多大なダメージを与えるのがキックパスです。田村選手がアイルランド戦でこれを多用したのは、2年後のW杯フランス大会を睨んでのものでしょう。フィフィタ選手とのホットラインが“全線開通”となれば、想像を超えるスペクタクルなシーンが見られそうです。
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