
昨年12月に開幕し、半年にわたって熱戦を繰り広げたラグビー・リーグワンは、6月2日、都内で2024-25シーズンの年間表彰式を開催しました。注目の新人賞に輝いたのは静岡ブルーレヴズのスクラムハーフ北村瞬太郎選手。今季リーグ2位タイの14トライをあげた攻撃的スクラムハーフです。
北村選手は神奈川県出身の23歳。國學院栃木高、立命館大を経て、24年にブルーレヴズに入団しました。身長168センチ、体重77キロ。スピードを生かしたランが特ち味です。
昨季(23-24)はアーリーエントリー制度を利用し、シーズン途中から試合出場が可能でしたが、リーグワンデビューは果たせませんでした。
実質ルーキーイヤーとなる今季は、プレーオフを含め全19試合に出場し、計15トライをあげました。
印象的だった試合は、4月27日の第16節・横浜キヤノンイーグルス戦です。後半31分に31対28と3点差に迫られたブルーレヴズは、その4分後にシンビンにより1人少ない状況に。39分、北村選手が自陣でボールを奪取すると快足を飛ばし、1人で約95メートルを走り切りました。東京&パリ五輪7人制日本代表のウイング石田吉平選手の追走をかわし、トライエリア(インゴール)までボールを運び、トドメを刺しました。
北村選手がレギュラーシーズンで積み上げた14トライは、15トライをあげてトライ王を獲得したジョネ・ナイカブラ選手(東芝ブレイブルーパス東京)に次ぐものでした。ブルーレヴズ初のプレーオフ進出に貢献し、ベストフィフティーンこそブラックラムズのTJ・ペレナラ選手に譲りましたが、新人賞選考ではファン、メディア、監督・HC、主将、表彰選考委員会の5者からトップ評価を受けました。
受賞に際し、北村選手は「率直にうれしいです」と語り、こう続けました。
「シーズン中は意識し過ぎると“自分が目立とう”というプレーを選択してしまう。シーズンが終わって、やっと“もしかしたら取れるかもしれない”という気持ちになれた」
スクラムハーフながらトライを量産したことについては、「結果的に僕が最後ボールを抑えた回数が14だっただけ。僕1人で取ったトライはなく、レヴズが生んだ14トライだと思っています」と殊勝に語りました。
北村選手は立命館大時代から攻撃的なプレーが持ち味で、トライもよく取っていました。しかし、本人によれば、今とでは中身が違うそうです。
「大学の時はスペースがなくても、無理矢理にでも突っ込んでいた。結果的にトライを取れていましたが、リーグワンでは、そうはいきませんでした」
飛躍のきっかけは、ブルーレヴズ藤井雄一郎監督による「説教」でした。
今年1月30日にレヴズのnoteに掲載されたインタビュー記事で、北村選手はこう述べています。
<「正直、来る前は『アーリーエントリーですぐ出られるかな』と軽い気持ちで考えていたんですが、甘かった(笑)。ここに来て1ヵ月くらい経って、最初の藤井さんとの面談で、思い切り説教されたんです。『自分が目立とうと思ってプレーするようなヤツは使わない』『これまでトライを取れてたのはレベルの低いカテゴリーだったから、それだけだ』と……ホント、これまでの人生で一番、ボロカスに、全否定されました」>
それを機に「“自分が自分が”というプレースタイルではなく、味方を生かせるようになった」と言います。例えるなら「木を見て森を見ず」だったスタイルが、しっかり「森を見渡せる」ようになったということでしょう。
さて新人賞はリーグワンがスタートしてから、順にウイング根塚洸雅(クボタスピアーズ船橋・東京ベイ)、センター長田智希選手(埼玉パナソニックワイルドナイツ)、スタンドオフ髙本幹也選手(東京サントリーサンゴリアス)が選出されています。根塚選手と長田選手はその後、代表デビューを果たしました。
「ラグビーをやっている以上、桜のジャージーを着て世界と戦いたいとは、誰もが思っていること。それは僕自身の小さい頃からの夢だった」と北村選手。
だが日本代表のポジション争いは熾烈です。「小さい頃からの夢」に向け、さらなる飛躍を心に誓う北村選手です。
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