2009年度から17年度にかけて全国大学選手権で9連覇を達成した帝京大学も、ここ2シーズンはベスト4、3回戦敗退に甘んじています。それをもって「帝京の1強時代は終わった」と見る向きもありますが、昨年のW杯日本大会ではベスト8進出を果たしたジャパンに出身大学別最多の7人のOBを送り込み、“人材の宝庫”ぶりを証明しました。今後、帝京大はどこへ向かうのか。昨年夏、OB会長に就任した渡部監祥さんに抱負を語ってもらいました。
――新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、ラグビーの大会、イベントの多くが中止や延期を余儀なくされています。
渡部監祥:我々も7月に帝京大ラグビー部創部50周年を記念した式典を八王子キャンパスで予定していましたが、延期になりました。W杯で活躍したジャパンの選手たちも参加予定だったので、非常に残念です。
――帝京大OBは堀江翔太選手、姫野和樹選手、流大選手など出身大学別で見ると、最多の7名がW杯日本大会に出場しました。OB会は大学選手権の連覇がスタートする前の2008年にできました。
渡部:伝統校に比べれば歴史は深くありませんが、昨年W杯日本大会では、たくさんのOBが活躍してくれました。これまでは現役生やOBの交流の機会も少なかったので、OB会を活性化し、ラグビー部のサポート体制をさらに強固なものにしていきたいと考えています。
――1985年度卒の渡部さんは2年時、帝京大の大学選手権初出場に貢献しました。当時と現在の環境の違いは?
渡部:学校側のサポート体制が違いますね。現在は全寮制ですし、部員の数も150人前後。私が学生の頃は50人くらいで、自宅から通っている学生もいました。管理栄養士などの医科学的なサポートも当時はありませんでした。私が2年時に早稲田、3年時に明治から初めて勝つことができた。チームは“紅い旋風”と呼ばれていたものの、伝統校に勝つことで精一杯でした。その後、後輩たちが9連覇という当時は夢にも思わないことを実現してくれたのはすごくうれしかった。快挙達成に導いてくれた岩出雅之監督にも大変感謝していますし、OBとしても誇らしいですね。
――2年前にクラブハウスが新設されるなど、現在は施設も充実しています。
渡部:私がOB会長に就任した際、上の代の先輩方に苦労話を聞きました。それもひとつの帝京の歴史。すべてをひっくるめて帝京の歴史ということを今の若い人たちにも知ってもらい、現役生がV奪回に向け、頑張ってくれたらなと思います。
――ラグビー部が強豪になったことで、周囲の反応は変わりましたか?
渡部:そうですね。連覇をし始めたころ、帝京大学でラグビーをしていたことを伝えると「あの強い帝京大学ですか?」と言われるようになりました。昔はそんなリアクションなかったですからね。それほど帝京大学が有名になったということですから、OBとしてもうれしい限りです。
――中止になってしまいましたが、W杯の影響もあり、今季のトップリーグは盛況でした。
渡部:そうですね。私もOB会長として帝京大OBが出ている試合をいくつか観戦しました。今や数多くのチームにOBが所属しているので、全会場というわけにはいきませんが……。
――トップリーグの観客動員数は過去最多の49万人を超える勢いでした。
渡部:ええ。古巣の東芝の試合を観るのにも一苦労でした(笑)。東芝の試合が2試合目の場合、そのキックオフ時刻に合わせて行くと、立見や端の方の席しか空いていない。1試合目から観にきているお客さんが残っている。それだけラグビーファンが増えた印象ですね。
――隔世の感があるのでは?
渡部:私が現役の頃は、社会人ラグビーより大学ラグビーの方に人気がありました。TVドラマ「スクールウォーズ」の世代なので、ラグビー人気は高かったんです。国立競技場での早明戦は6万人を集めるような時代でしたから。今回は代表選手の活躍により、トップリーグが盛り上がり、過去を思い出すような盛況ぶりでしたね。
――この盛り上がりを大学にどう生かすか。OB会長として抱負を?
渡部:私の目標はOB会の基礎を固めること。まず大学側との連携をより密にしていくこと。そしてOB会の人数を老若男女問わず増やしていきたい。OB会の人数が増え、全国的に広がれば“こんな選手がいるよ”と情報を共有することもできます。それがラグビー部の強化につながる。それにトップ選手以外の就職活動のサポートをOB会が担えればいいなと思っていますね。
――OB会長が考える帝京らしさとは?
渡部:ラグビー部のスローガンは「Enjoy&Teamwork」を掲げています。その点はOB会の運営においても継続していきたい。あくまでも我々はラグビー部をサポートする立場。ラグビーを通じて絆を強めていきたいです。
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