大学選手権4連覇を達成した帝京大学ラグビー部が1月25日、八王子の同大キャンパスでファンミーティングを行いました。約250人のファンや学生の前で、同13日に終わったばかりのシーズン(2024年度)を振り返りました。また選手、監督はサインや写真撮影に応じるなどファンとの交流を深めました。イベント終了後、相馬朋和監督に話を聞きました。
――大学選手権4連覇おめでとうございます。相馬さんが監督に就任してからは3連覇です。
相馬朋和: 連覇ということよりも、目の前の1年1年、その年の学生たちと過ごしてきたという感覚の方が私の中では強いですね。特に4年生たちが大学選手権に勝ったことで、少しでも悔いのない4年間だったと振り返ってくれればうれしいです。
――本日のイベントで、「4年生とは本当にいろいろな思い出がある」と話していましたが、特に印象深いことは?
相馬: どの試合も印象に残っています。今季は何度も負けたシーズンでした。Aチームは夏合宿、対抗戦で早稲田大学に負けました。Bチーム以下も練習試合で他大学に負けましたし、関東大学ジュニア選手権も優勝できませんでした(明治大学に敗れ準優勝)。いろいろな意味で順風満帆ではなく、圧倒的に勝ったというシーズンではなかった分、最後に勝って終えられて良かったと安堵しています。
――相馬さんが監督就任後、帝京大は対抗戦と大学選手権では負けなしでした。ところが昨年秋の対抗戦で早大に17対48で完敗を喫しました。
相馬: 我々は1試合1試合全力で戦っているつもりでも、どこかに先を見て戦っていた部分があったのかもしれません。でも早稲田は目前の試合を全力で戦っていた。その違いが結果に表れました。
――今シーズン、順風満帆でなかった原因は?
相馬: 私自身が学生たちに対し、“わかっているだろう”と思い込んでいたところがありました。そういう思い込みを全部捨てて、きちんと学生たちに伝えるべきだと考えを改めました。
――変化という点では、シーズン中の昨年9月から前監督の岩出雅之さん(現帝京大スポーツ局局長)が定期的にタックル指導を行っていたそうですね。これは相馬監督の要請でしょうか?
相馬: 学生たちと自分たちがやるべきことはなんだろうと話しながら、そのことを岩出先生に相談することもありました。こちらから「先生、お願いします」と頼んだのではなく、自然な流れで指導に加わっていただきました。
――そこがチームのターニングポイントになったと?
相馬: そうですね。学生たちがより真摯に練習していく姿を目にしました。
――相馬さんにとっても学びがあったのでしょうか。
相馬: その通りです。毎日毎日いろいろな学びがありました。指導者としての情熱が薄れかけていないか。そう自分自身に問いかけたくなるような姿を岩出先生に見せていただきました。
――大学選手権決勝では夏合宿、対抗戦で敗れた早稲田大学に33対15でリベンジを果たしました。準決勝の明治大学戦からフロントローのうち2人を代えて決勝に臨みました。その理由について相馬監督は「これまでの試合を通し、いろいろな印象が皆さんに付いていた。選手を入れ替えることで、まっさらな状態でレフリーにも見ていただきたいという思いから入れ替えた」と説明しました。
相馬: 会見での発言はレフリーだけに向けられたものと捉えられていますが、そうではありません。メディアの皆さんも、「早稲田の方がスクラム強い」と思われていたはず。その見方を変えるには同じメンバーで臨んではダメだと考えました。メンバーを代えることで、ある種、まっさらな状態でのスクラムを見てほしかったんです。
――会見では「リザーブに回った選手が必ずしも弱かったわけじゃない」とも話をされていました。実際、そのリザーブに回ったフッカーの當眞蓮選手が入った後半もスクラムで押し勝ちました。
相馬: 私からすれば、ちゃんと組み合うことさえできれば、押し勝てると信じていました。
――今シーズン、相馬さんから青木恵斗主将に対し、リーダーとして注文を付けたことは?
相馬: ほとんどなかったですね。青木に何かを言わなきゃいけないなと思った時には、彼自身が、その問題点にちゃんと気付き、着手している。話し合いの場を設けても、“もう私が何か言う必要はないな”と思うことがほとんどでしたね。
――本日のトークショーでは、選手たちからいじられる場面がありました。
相馬: 今回、見ている方がどう感じたかはわかりませんが、私の中では、意図的にそうしたわけではないんです。私に“監督だからこうじゃなきゃいけない”という考えもありません。
――フラットな関係だと?
相馬: 選手たちも私に言いたいことがあれば言えばいい。ただ、監督だろうと選手だろうと、言ったことにはちゃんと責任を持たなきゃいけないとは思っています。
――来季(25年度)に向けての目標を。
相馬: ゼロからつくり上げるように、ひとつひとつを丁寧にやっていきたい。先ほども話しましたが、“わかっているだろう”と決めつけず、例えわかっていたとしても繰り返し伝えなきゃいけない。そうやって相互理解を深められるようにしていきたいと考えています。
<相馬朋和(そうま・ともかず)プロフィール>
1977年6月5日、神奈川県出身。現役時代のポジションはプロップ。東京高校でラグビーを始め、3年時に高校日本代表に選ばれた。帝京大学を経て、埼玉パナソニックワイルドナイツの前身・三洋電機に入社。2005年11月のスペイン代表戦でジャパンの初キャップを獲得。07年W杯フランス大会に出場するなど通算24キャップ。パナソニックのスクラムコーチ、ヘッドコーチを経て、21年秋に帝京大のFWコーチに就任。22年春、監督に就いた。就任1季目からチームを大学日本一に導き、現在3連覇中(帝京大としては4連覇)。
データが取得できませんでした
以下よりダウンロードください。
ご視聴いただくには、「J:COMパーソナルID」または「J:COM ID」にてJ:COMオンデマンドアプリにログインしていただく必要がございます。
※よりかんたんに登録・ご利用いただける「J:COMパーソナルID」でのログインをおすすめしております。