いささか気の早い話ですが、ワールドカップの次はオリンピックです。今月10日、日本ラグビーフットボール協会は東京オリンピックに出場する男女7人制日本代表の第1次スコッドを発表しました。ラグビーのビッグイヤーは続きます。
7人制ラグビー(セブンズ)は前回のリオデジャネイロオリンピックから採用された種目です。同大会で日本は男子が4位入賞、女子は10位でした。男子はフィジー、女子はオーストラリアが金メダル第1号となりました。本城和人セブンズ強化委員長は「日本代表のステータス、ラグビーのプレゼンス(存在感)を高めるには、東京オリンピックでのメダル獲得がマスト」と目標を高く設定しています。
セブンズはその名の通り7対7で行うラグビーです。基本的なルール、フィールドの大きさは15人制と同じですが、試合時間は7分ハーフ(決勝戦を10分ハーフにする場合もある)と大幅に短いのが特徴です。15人制とセブンズ両方で日本代表に選ばれ、指導者経験もある吉田義人さんは、7人制の指導法について、こう述べています。
「7人制は力と力でぶつかる機会が少ない。だから僕ら7人制の指導者は“当たりにいけ”とは指導せず、“抜きにいけ”と教えています」
来年の東京オリンピック、日本は開催国として既に出場権を獲得しています。だが残念なことに今季、ワールドラグビーセブンズシリーズにおいて、男子はコアチームからの降格が決まりました。女子も優勝チームがコアチームに昇格する大会の準決勝で敗れ、昇格を逃しました。コアチームとは年間10大会(女子は6)行われる同シリーズすべてに出場できる、シード権を持つチームのことです。一方で明るい話題もありました。7月のユニバーシアード競技大会で男女揃って金メダルを獲得したのです。2020年の東京オリンピックに向け、弾みがつきそうです。
10日の記者会見では、1次スコッドのほかにオリンピックに向けたスケジュールも発表されました。その中にひとつ注目すべき項目がありました。それは「オリンピックシミュレーション」です。
16日にスタートしたオリンピックシミュレーションは、その名の通り、東京オリンピックの“予行演習”です。男子はスコッド外の有力選手、女子は男子の大学生や国内の外国人選手などを対戦相手に実戦形式のトレーニングを行います。そのほか移動や大会期間中の過ごし方などについても試したいと考えているようです。その一環として、男子は6月26日から7月6日まで北海道で合宿を張りました。
以下はオリンピックシミュレーションについて、男子の岩渕健輔ヘッドコーチ(HC)の説明です。
「涼しい北海道から猛暑の東京に帰ってきて、どのくらい順応できるか。それが大きなテーマとなります。また、注目されるなか、選手の集中力がどれくらい保てるのか。他にも試合と試合の間をどう過ごすかもテストしてみたい」
南アフリカを撃破するなど3勝をあげた4年前のW杯イングランド大会では、全ての事前準備がうまくいったと言われています。エディージャパンは大会の5カ月前に現地で合宿を張りました。元キャプテン箕内拓郎さんからのアドバイスを参考にしたと言います。
以下はイングランド大会を含むW杯3大会に出場した大野均選手の証言です。
「僕はそれまで2大会のW杯を経験しましたが、事前に現地合宿を組んでの予行演習はありませんでした。エディーさんは2大会でキャプテンを務めた箕内さんとミーティングをしたそうです。その場で箕内さんは“事前にキャンプ地を知っておいたら、もっと気分的にリラックスしてW杯を迎えられたかもしれない”と語ったそうです。そこで急遽、イングランド遠征を組んだと聞きました。本番と同じホテルに泊まり、同じグラウンドで練習をし、同じスケジュール、乗り物で次のキャンプ地に向かう。この予行演習のおかげで、違和感なく本番のキャンプを迎え、終えることができました」
ホストとして迎えるオリンピック、日本にとってこれ以上のアドバンテージはありません。猛暑対策もバッチリ決まれば、いよいよ表彰台が現実味を帯びてきます。
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