2023年W杯フランス大会の組分け抽選会が12月14日、フランス・パリで行われ、ジャパンはイングランド、アルゼンチンと同じプールDに入りました。昨年の日本大会準優勝のイングランド、15年イングランド大会4位のアルゼンチンと同組ということで“死のプール”と見る向きもあります。
抽選結果を受け、ジェイミー・ジョセフヘッドコーチ(HC)は「エキサイティングな気持ち」と前置きし、対戦の決まった2チームの印象をこう述べました。
「非常にパワフルなチームと当たることになった。2チームともセットピースに強く、体も大きい。フィジカルに優れた相手との試合になるので、我々にとっては大きな挑戦になる」
昨年のW杯日本大会でキャプテンを務めたリーチ・マイケル選手は日本協会を通じ、こうコメントしました。
<どのチームとの対戦もチャレンジングであり、今からRWC2023が非常に楽しみです。良いプールに入ったと思います。チームの一員としては、今後それぞれが自分の目標をもって準備に臨み、そして自分たちのラグビーを確立していくことが大切に思います。3年後の対戦相手が決まって、今まで以上にハードワークの日々がスタートすることになります。23年、フランスで桜のジャージを着て、最高のパフォーマンスで結果を残せるよう努力していきます>
プールD最大の難敵が、ジャパンの前HCエディー・ジョーンズHC率いるイングランドであることは言うまでもありません。ジャパンは過去9戦して0勝9敗。直近では18年に前半は15対10とリードしながら、後半に実力の差を見せつけられ、終わってみれば15対35。イングランドはW杯日本大会で準優勝。今年はシックスネーションズ(欧州6カ国対抗)を3年ぶりに制し、新設されたオータムネーションズ(シックスネーションズ+フィジー、ジョージアの8カ国・地域対抗戦)でも優勝するなど、充実ぶりをアピールしています。最新の世界ランキングではW杯日本大会優勝の南アフリカに次ぐ2位。ジャパンとしては成長した姿を見せることで、エディーさんに“恩返し”をしたいところです。
世界ランキング8位のアルゼンチンもティア1の強敵です。対戦成績はジャパンの1勝5敗。16年のジェイミージャパン初陣(東京・秩父宮ラグビー場)では20対54と大敗を喫しました。アルゼンチンは今年11月から12月にかけてオーストラリアで集中開催されたトライネーションズ(南半球3カ国対抗)ではW杯優勝3度のニュージーランドを25対15で破り、通算30試合目にして初勝利をあげました。また同大会ではホストの国オーストラリアに2試合とも引き分け(15対15、16対16)るという大健闘を見せました。
ジャパンの目標は「日本大会以上」(日本協会・森重隆会長)。すなわちベスト4以上です。日本協会の強化担当・藤井雄一郎ナショナルチームディレクター(NTD)は「トップ4に入るという目標ではトップ4に入れない。必然的に世界で一番になることを目指していく」と語りました。この高いハードルを越えるためにはキメの細かい強化スケジュールが必要となります。
しかし、今年に入ってジャパンは新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、予定されていたティア1との5試合が全て中止となりました。
相撲で言えば、格下の力士が格上の力士の胸を借りる出稽古やぶつかり稽古がなくなったようなものです。胸を貸す方はともかく、借りる方にとっては大きな痛手です。
そんな苦境下、日本協会の藤井NTDは「(来年は)最低でも4試合はやりたい」と明言しました。
「ティア1のチームにアプローチしています。できれば今回のバンド1(第1シード。ニュージーランド、南アフリカ、ウェールズ、イングランド)のチームと多く試合をしたい」
その目玉が来年6月に行われる予定のブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズ戦です。イングランド、スコットランド、ウェールズ、アイルランド代表選手から選出される4年に1度のドリームチーム。ジェイミーHCも「ジャパンがライオンズと対戦できるということ自体、素晴らしい。一度きりの機会だと思っています」と喜んでいました。
ベスト8進出を果たした前回大会を例にあげれば、15年イングランド大会から19年W杯日本大会までの約4年間、ティア1のチームとテストマッチを13試合行いました。この“ぶつかり稽古”がジャパン躍進の遠因となったのです。
気になるのは試合間隔です。15年イングランド大会では、初戦の南アフリカ戦から、中3日でスコットランドと対戦し、10対45と大敗しました。元日本代表の大畑大介さんは「サッカーで例えるなら中1日で戦うようなもの」と話していました。もう少し日程に余裕があれば、試合内容は違ったものとなっていたかもしれません。
一方、昨年の日本大会ではホスト国ということもあり、日程面ではかなり恵まれました。試合間隔は中7日、中6日、中7日。同組のライバルたちよりもリカバリーや次に向けての準備に割ける時間が多く、初の決勝トーナメント進出への追い風となりました。
しかし3年後のフランス大会では、イングランド大会同様ティア1と中3日で組まれる可能性もゼロではありません。これについて指揮官はどう考えているのでしょう。
「スコッドがローテーションしながらも戦えなければいけない。ポジションを問わず全体としてもう一層、厚みをつけていきたい」
本番まで残り2年9カ月。コロナの感染状況を横目でにらみながら、手探りでの前進が続きます。
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