12月開幕予定の2シーズン目のリーグワンに向け、各チームが続々と新入団選手を発表しています。そんな中、ひときわ注目を集めているのが、横浜キヤノンイーグルスに加わった南アフリカ代表スクラムハーフのファフ・デクラーク選手です。2019年W杯日本大会では、準々決勝でジャパンの前に立ちふさがった、あの“火の玉小僧”です。
デクラーク選手は代表通算38キャップ。19年W杯日本大会では南アフリカ代表の世界一に貢献しました。ブロンドの長髪をなびかせながらの素早いパス回しに加え、キック、ラン。そのスキルはどれをとっても世界屈指です。しかし、デクラーク選手の持ち味はそれにとどまりません。身長170センチながら大男に挑みかかるように見舞うタックルは、“火の玉小僧”を想起させます。
3年前のW杯日本大会準々決勝。ジャパンのベスト4進出を阻んだのも、“火の玉小僧”でした。アタックの起点となるジャパンのハーフ団に対し、猟犬のように襲い掛かり、チェイスの手を緩めません。デクラーク選手の狙いは「なるべく日本にボールを持たせないこと」でした。これにより持ち味の「テンポの良さ」を失ったジャパンはノートライ、3対26の完敗でした。
スクラムハーフの流大選手がデクラーク選手について、大会後にこう語っていたのが印象的でした。
「ディフェンスのところで、嫌なプレーをしてくる。僕らの視界に入ってきて、判断を誤らせようとした。そうやってプレーの精度を落とさせることでチーム全体のパフォーマンスにも影響を与えようというのが、彼の狙いなんです。見習わなければいけない点がたくさん見つかりました」
さる7月21日、W杯優勝トロフィーを掲げた思い出の地であり、横浜Eの本拠地でもある神奈川・日産スタジアムで記者会見を行ったデクラーク選手は、「このチームでトロフィーを勝ち取っていきたい。世界でベストなチームと言われる存在になりたいと思う」と抱負を述べました。
「アグレッシブで自分の仕事に手を抜かない。それが見ていても伝わってくる選手だと思います」
デクラーク選手を、そう評するのは3季目を迎える横浜Eの沢木敬介監督です。
1季目が5位、2季目が6位、あと一歩届かぬ目標の「TOP4」(4強入り)に向け、“デクラーク効果”に期待を寄せます。
「(デクラーク加入で)イーグルスの注目度は上がる。他の選手も注目されることで、一層頑張れる。そこでいいコンペティション(競争)が生まれると思う」
そして、こうも。
「本当の一流選手は環境が変わっても対応し、力を発揮できる。彼もそう。うちのスタイルにもすぐにフィットすると思います。あとはW杯で優勝しているチームの一員ですし、ウイニング・カルチャーを知っている。勝つために必要なものをみんなに伝えてくれると思っています」
チームからの「ロールモデルになって欲しい」という要望について、デクラーク選手はこう答えました。
「若手に自分が培ってきた経験を伝えたい。もちろん私が学ぶこともあると思うが、まずは行動で示す。チームが苦戦している時に、どう乗り越えるかを。私はこれまで一緒にいた選手、コーチから多くを学んできたので、それをイーグルスに還元したい」
契約年数は明らかにされませんでしたが、永友洋司ゼネラルマネジャー(GM)は「複数年でイーグルスに文化をつくってもらいたい」と単年契約ではないことを示唆しました。
「世界で戦う選手たちがチームと一緒に練習していくことで、必然的な強度の高い練習になる。昨季のリーグワンは埼玉パナソニック(ワイルドナイツ)、東京サントリー(サンゴリアス)、クボタスピアーズ(船橋・東京ベイ)という世界レベルの選手たちが数多くいる3強が頭ひとつ抜けていたと感じました。もっとチームトレーニングから強度を上げていくためにも世界レベルの選手が必要だった」
沢木監督が口にした「ウイニング・カルチャー」とはいい言葉です。ピッチの上を獲物を狙う猟犬のように駆け巡るデクラーク選手の活躍が今から楽しみです。
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