9日、埼玉・熊谷ラグビー場で行われたリーグワンの全勝対決は、埼玉パナソニックワイルドナイツが東芝ブレイブルーパス東京を36対24で下しました。これで今季の全勝チームはワイルドナイツのみ。勝ち点を42とし、2位ブレイブルーパスとの勝ち点差を5に広げました。
風速7メートルという強風が吹き荒れた熊谷ラグビー場。前半風上を選んだワイルドナイツでしたが、いきなり先制パンチを見舞われます。ブレイブルーパスのスタンドオフ、リッチー・モウンガ選手に突破を許し、そのままインゴールに飛び込まれました。絵に描いたようなノーホイッスルトライです。さすがはオールブラックス(ニュージーランド代表)56キャップの司令塔です。この日、詰め掛けた1万3389人の観衆をいきなり驚かせました。
それでも何事もなかったようにチームを立て直し、着実にスコアするのがワイルドナイツの老獪さです。持ち味の堅いディフェンスで、徹底してプレッシャーを掛け続け、これ以降はモウンガ選手に決定的な仕事をさせませんでした。
それを象徴するシーンが13対10、ワイルドナイツリードで迎えた前半26分。フッカー坂手淳史選手がモウンガ選手のヒザ下に低く鋭いタックルを決めると、即座に味方2人が寄ってきてジャッカルに成功しました。
一時5点差に詰められる場面もありましたが、終わってみれば12点差。ブレイブルーパスにボーナスポイント(7点差以内の敗戦で勝ち点1)すら与えませんでした。
敗れたブレイブルーパスサイドの試合後のコメントです。
「パナソニックは本当に素晴らしいチームで付け入る隙がない。今日のように、こちらがミスをしてしまうと、そこにつけ込んでくる。パナソニックの選手たちは長い間、ずっとそうだ」(トッド・ブラックアダーヘッドコーチ)
「この瞬間がゲームの岐路となるというところで、ディフェンスであれ、アタックであれピンポイントで掴みにくる。チームとして成熟している。ここ数年間、いい結果を残されている理由だと感じさせられるゲームでした」(森田佳寿コーチングコーディネーター)
観客のお目当てであるフッカー堀江翔太選手が登場したのは後半11分の場面です。ハイライトは29対24となった後の35分。自陣のブレイクダウンで素早くボールに絡みます。堀江選手はジャッカルに成功し、センター眞野泰地選手のノット・リリース・ザ・ボールの反則を誘いました。
試合後の堀江選手のコメントです。
「ジャッカルしてやろうと常に狙っているわけではなく、あそこに僕が立っていたから。僕が立っていなかったら違う選手が同じ動きをしていたと思う」
この日、プレーヤー・オブ・ザ・マッチ(POM)に選ばれたのはスクラムハーフの小山大輝選手でした。豊富な運動量と素早い球さばきで攻撃の起点となりました。
「“負けてはいけない”というカルチャーが、このチームには根付いている。ディフェンスから攻撃に転じること。それは誰かが口に出さなくても、きちんとできている」
自信にみちた表情で、そう語りました。
敗れたとはいえ、一時は5点差に詰め寄るなど見せ場をつくったブレイブルーパス。両雄は再びプレーオフで相まみえるかもしれません。
「リーグ戦で勝っても、最後プレーオフで負ければ意味がない。昨季、それを経験しているからこそ、今日は勝って喜びますが、その後はしっかりと振り返る。これからもタフな試合が続く。前を見てやるしかない。昨季の負けを生かすためにも一戦一戦、準備を大事にし、パフォーマンスにフォーカスしたい」とスタンドオフ松田力也選手。
リーグワンを代表するチーム同士の対決に1万3389人の観衆は、一様に満足そうな表情を浮かべ、家路につきました。ラグビーの魅力を堪能した土曜の午後でした。
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