リーグワン初年度を3位で終えたクボタスピアーズ船橋・東京ベイ。前身のトップリーグ(TL)時代を含め、昨季の3位タイを上回る過去最高成績です。今季の躍進を支えたウイング根塚洸雅選手は新人賞のほか個人3冠に輝きました。S東京ベイからは、昨季のウイング/フルバック金秀隆選手に続いての新人賞選出となりました。
6月1日に行ったシーズン総括会見でフラン・ルディケヘッドコーチ(HC)は「リクルーターがしっかりやってくれているから。その努力の賜物」と2季連続新人賞受賞者輩出の理由を語り、チームスタッフに感謝しました。
「主に大学の試合を観に行っているのはGMの(石川)充さんやリクルーターの前川(泰慶チームマネージャー兼採用担当)さん。彼らがいい選手をリストアップしてくれる。彼らが自分の時間、家族との時間を犠牲にしてやってくれている」
昨季の新人賞・金選手は石川GMがスカウトしましたが、「ここ最近のいい選手は採用担当の前川が採ってきている」と話していました。
今季のS東京ベイは21年度入団の根塚選手のほか、スクラムハーフ藤原忍選手など若手が活躍しました。シーズン終盤は今年4月に入団したピカピカの1年生もリーグワンデビューを果たしました。ウイングの木田晴斗選手、プロップ紙森陽太選手、フルバックのハラトア・ヴァイレア選手。木田選手はプレーオフを含む5試合に出場し、2トライを記録しました。石川GMの言葉通り、彼らの多くが、前川TM兼採用担当が入団に関わった選手たちでした。
石川GMはチームの採用方針として「人間性に重きを置いています。基本的にはラグビーが上手い下手の前に“人”です。その部分はしっかり見極めていきたい」と語っていました。
前川TM兼採用担当が試合会場のみならず、各大学のグラウンドに足しげく通うのは、選手の人間性を知るためです。
「例えば、練習が終わった後にどういう振る舞っているかを見ますね。僕が視察に行った時、選手と直接話す時間は短いので、トレーナーさんやマネージャーの学生さんなど、その選手と一緒にいることが長い人たちに話を聞くようにしています」
では選手たちはどうでしょう。キャプテンのセンター立川理道選手は、チームの“リクルート力”について、こう語っています。
「前川さんは献身的に、しっかりと足を使って大学やいろいろなところに顔を出して採用されている。学生からしたらすごくうれしいと思いますし、本当に必要とされていると感じるのだと思います」
スカウトされた側の声も聞きました。
「僕はリクルーターの方たちとしゃべって、チームにどう必要とされているかを重点に考えていました。クボタは実際に話す回数が多かったですし、どれだけチームに来て欲しいかという熱意も伝わってきた。それが一番大きい」(木田選手)
「リクルーターの方の熱意を感じた。どういうところでクボタに必要とされているかを明確に教えていただいた。入団を決めた一番の理由は最初に声を掛けてくれたこと」(紙森選手)
2人のケースで言えば、“先手必勝”が獲得につながったのです。前川TM兼採用担当は、それが自らのリクルート・スタイルだと言います。
「獲得には、それぞれチームのスタイルがあると思います。最後に声をかけた方が、新鮮味があっていいというケースもある。ただ僕のスタイルは、僕自身が我慢できないから行くだけです。“早くこの選手としゃべりたい”という気持ちを大切にしている。もちろん監督、コーチ、部長さんなどに了承を得てから、選手には声を掛けるようにしています」
気になる選手がいれば、積極的に足を運ぶ前川TM兼採用担当。獲得のための視察は「答え合わせ」でもあります。
「採用にあたっては、試合で“いいな”と思った選手の練習を観に行きます。何回練習を観に行っても高いパフォーマンスを維持している選手であれば“間違いない”と判断し、声を掛けるようにしていますね。僕の中では“この選手がクボタに来たらどういうふうに活躍してくれるのか”と、毎回答え合わせをしに行っている感じです」
答え合わせ、とはユニークな表現です。自分の目に狂いはないか、見落とした点はないか。“あばたもえくぼ”というように、単なる“ひと目惚れ”では、リクルーターは務まりません。自身の中での丁寧なチェック作業が成功率を上げているように思われます。
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