新型コロナウイルス感染拡大により、約1カ月遅れの開幕となったトップリーグ(TL)。21日、優勝候補のサントリーサンゴリアスは三菱重工相模原ダイナボアーズと対戦し、75対7と大勝しました。注目の新戦力、ニュージーランド代表ボーデン・バレット選手はスタンドオフで起用され、1トライを含む21得点。鮮烈なTLデビューを飾りました。
今季、TLにはニュージーランド代表88キャップのバレット選手をはじめ、オーストラリア代表105キャップのマイケル・フーパー選手(トヨタ自動車ヴェルブリッツ)、スコットランド代表76キャップのグレイグ・レイドロー選手(NTTコミュニケーションズシャイニングアークス)、ニュージーランド代表84キャップのベン・スミス選手(神戸製鋼コベルコスティーラーズ)ら世界的なビッグネームが多数参戦しています。
その中でも、とりわけ注目度が高いのがワールドラグビーの年間最優秀選手賞を2度受賞したバレット選手です。1月に都内で行った入団会見には、コロナ下にもかかわらず100人以上の報道陣が詰め掛けました。
バレット選手本人が「予測できないプレーを見せたい」と口にしたように、創造性あふれるプレーが持ち味です。しかし獲得の理由はそれだけではありません。土田雅人シニアディレクターは「選手としてのプレーだけでなく、期待することは試合や練習に臨む態度、そして日々の行動です。サンゴリアスに影響を与えてくれると考えています」と語っていました。
イメージが重なるのが18年から2シーズン、神戸製鋼でプレーしたダン・カーターさんです。ピッチのみならずオフ・ザ・ピッチでも高い評価を受けました。
「ダン・カーターはスポーツ選手として尊敬するべきところがとても多い。私生活から練習に取り組む姿勢まで含め、24時間プロ意識が高い選手です。グラウンドでいいプレーをするには、どうすべきか。ラグビーに取り組む姿勢をみんなに教え、チームを引っ張ってくれる。その影響はチーム全体に浸透しつつあります」(神戸製鋼・橋本大輝選手)
バレット選手に話を戻しましょう。背番号10をつけてピッチに立った29歳は前半3分にコンバージョンキックを決め、初得点をあげると5分にはチーム2本目のトライを演出しました。中央でボールを持つとディフェンスラインの間に食い込むように前進します。2人をひきつけてセンターの中村選手にオフロードパス。中村選手は正面のディフェンスを引きつけて並走するスクラムハーフ流大選手にボールを送ります。フリーの流選手はトライを確信し、もうその時点で左手を突きあげ、インゴールど真ん中にボールを置きました。
初トライは前半ロスタイムです。ゴール前でパスを受けると、タックルをフワリと軽快にかわし、ゴールポスト左に飛び込みました。
バレット選手は後半20分にベンチへ下がるまで、多彩な攻撃を演出し続けました。8本のコンバージョンキックを成功させるなど、計21得点。サントリーはトライを量産し、11トライの圧勝でした。
試合後、バレット選手の表情は嬉々としていました。
「やっと開幕を迎えられ、チームメイトと戦えたことが感慨深い。ファンの前でプレーできたことに喜びを感じている」。中村選手は「10番としてゲームをコントロールしてくれた。ランナーとしても優秀」と、さすがの働きぶりに舌を巻いていました。
奇しくも、バレット選手のTLデビュー前日(日本時間)に同胞のスーパースター、カーターさんが現役引退を発表しました。ニュージーランド代表、スーパーラグビーのブルース(ニュージーランド)でともにプレーしたバレット選手はこうコメントしました。
「世界でもベストの10番。一緒にプレーする中で学んだことがたくさんある。小さい頃から尊敬し、目標としていた選手。彼の功績はこれからも残っていく」
カーターさんからバレット選手へ。日本のピッチで“オールブラックスの誇り”を体現してもらいたいものです。
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