2季目のリーグワンは昨年末に2節を消化しました。いち早く親会社のヤマハ発動機から独立分社化し、プロクラブとして歩み始めた静岡ブルーレヴズ(静岡BR)は、開幕2連敗と出遅れましたが、ヤマハスタジアム行われた第2節のホームゲーム開幕戦(対埼玉パナソニックワイルドナイツ=埼玉WK)では、チーム最多の9443人の観客動員を記録するなど、興行面で幸先の良いスタートを切りました。
リーグワン初年度のホストゲーム平均観客動員数は3620人。昨季のヤマハスタジアムでの開幕戦(対NTTドコモレッドハリケーンズ戦)は2745人、昨季の埼玉WKとの対戦(IAIスタジアム日本平)でも3784人ですから、9000人超えとは驚きました。
今季の新体制発表会見で、山谷拓志代表取締役社長は「昨季の平均観客動員は4000人を割り、リーグ(4213人)の平均より低い3600人だったので6000人を目指していきたい」と語っていました。
観客動員増は、プロクラブとしての取り組みが評価された証と言えるかもしれません。今季の新たな取り組みのひとつとして、ケガで長期離脱(3カ月以上)を余議なくされた選手の情報を公表していることがあげられます。
昨季は見送っていた長期離脱者の公表理由ついて、山谷社長は理由を「RUGBY REPUBLIC」(2022年11月2日配信)のインタビューでこう答えています。
<プロスポーツにおいては選手が出られない状況であれば、ファンやスポンサーなどのステークホルダーにその情報を開示すべきですよね。その選手を応援しようと思って、チケットを買ったファンの方もいるわけですから。ラグビーはケガの多いスポーツでもあるので、ラグビーこそやるべき、と思っていました>
こうしたファンやスポンサーなどへの目配りの成果は、きちんと数字に表れています。23年1月1日に更新した山谷社長のnote(文章、写真、イラスト、音楽、映像などの作品を配信するウェブサイト)によれば、昨季のホスト最終戦(22年5月8日)時点と今季のホスト開幕戦(22年12月25日)時点を比較し、ファンクラブ会員数は45%以上(1万1463人→1万6674人)、パートナー社数は37%以上(59→81社)も増加したそうです。
企業名を外し、“オール静岡”を旗印に活動する静岡BR。ホーム会場の中で最大の収容人数を誇るのが袋井市の小笠原総合運動公園エコパスタジアムです。言うまでもなく19年W杯日本大会で、ジャパンが世界ランキング2位(当時)のアイルランド代表を19対12で破り、“シズオカショック”をアピールしたスタジアムです。
このエコパスタジアムを拠点とする「ラグビー聖地化」計画が現在、着々と進められています。県のラグビー協会は21年4月に法人化(一般社団)されました。馬場靖専務理事は「10年後にはエコパを、そして静岡全体をスポーツ・ウーブン・シティにしていきたい」と抱負を口にしています。
ウーブン・シティとは、トヨタ自動車が静岡県裾野市に建設中の実験都市のことです。同社は<人々が生活を送るリアルな環境のもと、自動運転、モビリティ・アズ・ア・サービス(MaaS),パーソナルモビリティ、ロボット、スマートホーム技術、人工知能(AI)技術などを導入・検証できる実証都市を新たに作る>(同社公式サイト)としています。
「エコパの裏には大きな救急病院、静岡理工科大もある。地の利、空港、新幹線、東海道など、いろいろなものを使いながら、まちづくりをしていきたい」(馬場専務理事)
聖地化のハード面の核がエコパなら、ソフト面の中心が静岡BRです。
昨年秋、エコパスタジアムで行われた地域共創セミナーで、山谷社長は参加者に「第二の“シズオカショック”をつくる」と熱く語りかけました。
「これまで静岡におけるラグビーはW杯があって、“シズオカショック”があって、県・協会さんがアグレッシブな活動をされてきた。我々ブルーレヴズができ、良い流れになっていると思います。これから先を見た時に、第二の“シズオカショック”をつくらないといけない。それは何かというと、我々が静岡のラグビークラブとして、非常に強く愛されるチームになっていくことが求められていると思っているんです」
静岡と言えばサッカーどころですが、ブルーレヴズの挑戦は将来、県民に“新しい景色”を見せることになるかもしれません。
データが取得できませんでした
以下よりダウンロードください。
ご視聴いただくには、「J:COMパーソナルID」または「J:COM ID」にてJ:COMオンデマンドアプリにログインしていただく必要がございます。
※よりかんたんに登録・ご利用いただける「J:COMパーソナルID」でのログインをおすすめしております。