結論から言えば力負けでしょう。W杯フランス大会、D組のジャパンは8日、決勝トーナメント進出をかけてアルゼンチンと戦い、27対39で敗れました。これにより勝ち点9で3位となり、2大会連続のベスト8はなりませんでした。
前半38分、ウイングのシオサイア・フィフィタ選手が左サイドを突破し、ラストパスを受けたスクラムハーフ齋藤直人選手がインゴール左中間にトライ。14対15でゲームを折り返した時には、逆転への期待が膨らみました。
しかし、さすがは、これまで2回、ベスト4進出を果たしている試合巧者のアルゼンチンです。後半6分、ラインアウトモールから前進し、ウイングのマテオ・カレーラス選手がインゴール左中間に飛び込みました。
取られたら取り返す。これがアルゼンチンのしたたかなところです。
ジャパンも食い下がります。12分にはスタンドオフ松田力也選手がPG、16分にはフルバックのレメキ・ロマノ・ラヴァ選手がドロップゴールを決め、20対22に。
だが、まるで逃げ水のように、近付いたら、離れていくのがアルゼンチンです。
18分、スクラムで押し込んでから、素早いパス交換、最後はウイングのエミリアノ・ボフェリ選手がインゴール右隅に飛び込ました。
ジャパンも諦めません。25分、齋藤選手、センター中村亮土選手、松田選手、レメキ選手とパスが回り、最後はウイングのジョネ・ナイカブラ選手がインゴール右隅に楕円球を叩き付けました。
残り15分を切り、思わず天を仰いだのは、カレーラス選手のこの日、3本目のトライ。左サイドでボールを受けると、急カーブを切るように内に外にと切り返し、フィニッシュしました。コンバージョンも決まり27対36。
身長173センチ、体重84キロ。そう大柄には見えないカレーラス選手ですが、下半身は筋肉の鎧のようです。
ジャパンは、この選手ひとりにやられたような格好になってしまいました。取るべき人が取る。チームの士気も上がります。
35分には通算101キャップのベテラン、スタンドオフのニコラス・サンチェス選手が50メートル近いPGを決め、事実上、勝負が決まりました。
試合後、プロップ稲垣啓太選手はこう語りました。
「負けてしまったことがすべて。準備が足りなかったとは思っていませんが、届かなかったというのが率直な印象です」
課題はいくつもあります。まずは4試合で107失点を喫したディフェンス。アルゼンチン戦、開始早々の被トライがそうだったように、いとも簡単に抜かれるシーンが目に付きました。
スクラムについてはイングランド、アルゼンチンと、ほぼ互角に渡り合うなど、ティア1基準に近付いたジャパンですが、モールで押し込まれる場面が目立ちました。
後半20分を過ぎてからの被トライの多さも改善点です。この夏、ジャパンは「練習量は間違いなく世界で一番」(藤井雄一郎ナショナルチームディレクター)という過酷なトレーニングを積んできたはずですが、後半のスコアは、イングランド戦が3対21、サモア戦が11対14、アルゼンチン戦が13対24と散々でした。
フランカーのリーチ・マイケル選手は「弱点はラスト20分の戦い。(それを埋めるのが)最後のピース」と語っていました。
とはいえ、格上のイングランド、アルゼンチン相手に「善戦」できたのは大きな収穫です。協会の中には「善戦で“良し”としてはダメ」という声もあるようですが、千里の道も一歩からです。エベレスト登頂へのアタックは、ここからが本番です。
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