ニュージーランド、オーストラリア、南アフリカ、アルゼンチンの4カ国のプロクラブが参加するスーパーラグビー(SR)に参戦していた日本チームのヒト・コミュニケーションズ サンウルブズは8日、東京・秩父宮ラグビー場でメモリアルセレモニーを行い、5シーズンに渡る活動に幕を下ろしました。
サンウルブズはジャパンの強化を目的に2015年に結成されました。チーム名は「SUN」(太陽)と「WOLVES」(オオカミ)の2つの単語を組み合わせたものです。「SUN」は日出ずる国である日本を象徴しています。「WOLVES」は仲間を守り、群れで統率をとり、組織力で獲物を捕らえるオオカミの特性を、日本ラグビーのプレースタイルに重ね合わせました。
サンウルブズのジャパンへの貢献はSRでの9勝1分け58敗という戦績以上のものがありました。昨年秋に行われたW杯日本大会でのベスト8進出は、サンウルブズの存在抜きには語れません。
それはジャパン戦士の以下のコメントからも明らかです。
「2019年W杯日本大会に繋がったと思っている。常に高いレベルの試合ができ、僕もだいぶ成長できた」(堀江翔太選手)
「サンウルブズは自分を成長させてくれ、日本ラグビー界にもいろいろな力を感じさせてくれたチームだった」(稲垣啓太選手)
「テストマッチレベルの試合をコンスタントに体験できる。南半球を長距離移動するタフなツアーで、選手たちは鍛えられました」(大野均さん)
またラストシーズンとなった今年は、トップリーグと開催時期が重なったため、大学生の招集もありました。齋藤直人選手(加入当時・早稲田大学。現サントリー・サンゴリアス)、中野将伍選手(同)ら若い選手にとって、貴重な経験となったようです。
「対外国人選手を想定することができても、実戦に勝るものはない」(齋藤選手)
「高いレベルでやれたことで自分の成長にも繋がるシーズンでした」(中野選手)
これを受け、日本人として初めてSRでプレーした田中史朗選手は、こう語っていました。
「若い時からレベルの高いところでプレーすることは、彼らの財産になる。こういう選手たちが増えていけば、日本ラグビーのレベルは上がると思います」
サンウルブズが日本のラグビーにもたらしたレガシーは、強化だけではありません。チームを運営するジャパンエスアールの渡瀬裕司CEOは「我々が想像する以上に多くのファンの方々がこのチームを応援し、競技場でも大きな声援を送ってくれました。それにより、どこにもないサンウルブズの応援のカルチャーがかたちづくられた」と振り返ります。
たとえばオオカミの遠吠えを真似た応援スタイルは、サンウルブズならではのものです。サンウルブズの存在が日本ラグビーの応援風景をも変えたと言っていいでしょう。
チームのメインスポンサーであるヒト・コミュニケーションズの安井豊明社長も「サンウルブズはいくつかの大きな変化をもたらした」と評価を惜しみません。
「ひとつは秩父宮を始めとしたラグビー場の風景の変化です。チームジャージーを着た家族連れや若い女性たちのグループなど、今までラグビースタジアムでは見ることができなかった応援風景がありました。大きな声で“アウォーン”と吠えるお馴染みの応援。そこには心底、ラグビーを楽しむファンの姿があったように思います。サンウルブズは私たちにラグビーの楽しさを教えてくれたんです」
残念ながら5シーズンの活動を終え、サンウルブズは解散となりました。SRの主催団体サンザーと資金面で折り合いが付かなかったことが原因と言われています。稲垣選手が「なくなってしまうのは寂しい。日本ラグビーにサンウルブズが戻ってくることを祈りたい」と語るように、チームの解散を惜しむ声は少なくありません。日本ラグビー協会の森重隆会長は「サンウルブズがやってきたことをいかに残していくかが日本ラグビーに残された宿題」と口にしました。
協会のトップが「宿題」と言う以上、手をこまねいているわけにはいきません。ジャパン強化のために、ラグビー文化の浸透のためにも代替案が望まれます。
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