前半戦を終え、リーグワンのディビジョン1はクボタスピアーズ船橋・東京ベイ、東京サントリーサンゴリアス、埼玉パナソニックワイルドナイツ、トヨタヴェルブリッツと昨季トップリーグ(TL)の4強が上位の4位以内に入っています。今回は第8節終了時点で2位につける、昨季TL準優勝の東京SGにフォーカスしましょう。
周知のようにチーム名のサンゴリアスは太陽(Sun)と巨人・ゴリアテを意味するゴリアス(Goliath)からきています。TL優勝最多タイの5回、日本選手権を8回も制している強豪で、資金力もあることから、文字通り“ラグビー界の巨人”と言っていいでしょう。
リーグがTLからリーグワンに変わっても、日本ラグビーの中心にいることに変わりはありません。ここまで7勝(不戦勝2を含む)1敗で勝ち点33。トップと勝ち点1差の2位です。ニュージーランド代表40キャップのダミアン・マッケンジー選手、オーストラリア代表38キャップのサム・ケレビ選手という世界的ビッグネームに加え、ジャパン30キャップの中村亮土選手、27キャップの流大選手らが揃う豪華な陣容で、代名詞である「アグレッシブ・アタッキングラグビー」に磨きがかかっています。283得点(不戦勝は21対0扱い)、39トライ(不戦勝は3トライ扱い)は、いずれもリーグ最多です。
その東京SGが初黒星を喫したのが、2月26日の第7節、埼玉WK戦です。開幕からの連勝は6でストップしました。
敵地・熊谷ラグビー場での試合は前半途中まで17対3とリードしながら逆転され、最終的にはダブルスコア(17対34)で敗れました。
敗因のひとつにあげられるのが、16個のペナルティーです。東京SGは昨季TLリーグ戦での1試合平均が10.1個ですから、いかに反則が多かったかがわかります。前半だけで10個と、1試合平均の反則数に達してしまいました。
特に19分からロスタイムを含む前半終了までが“魔の時間帯”でした。18分にマッケンジー選手がコンバージョンキックを決めた時点で、東京SGは17対3とリード。しかし、そこからの約24分間で8個ものペナルティーを重ね、相手に流れを渡してしまったのです。その結果、2トライ2ゴール、1PGを献上し、17対20と試合をひっくり返されてしまいました。
センターでフル出場したキャプテンの中村亮土選手は、規律が乱れた“魔の24分間”を「ブレイクダウンでの基準が、僕たちとレフリー、埼玉パナソニックワイルドナイツとの間にズレがあり、そこをコントロールできなかった」と反省しました。
ブレイクダウンでの攻防で不利を余儀なくされ、埼玉WKの厳しいプレッシャーに耐えられず、ペナルティーを重ねてしまいました。結局、前半途中に失った流れを最後まで取り戻すことができず、後半はPGで着実に加点した埼玉WKに17点差で敗れました。
試合2日後にメディア対応した流選手は、彼我の差をこう分析しました。
「自分たちは同じペナルティーを繰り返していた。その点、パナソニックはミスやペナルティーがあっても誰も焦ることなく自分たちがやるべきところに戻るのがすごく上手い」
初黒星から6日後のコベルコ神戸スティーラーズ戦。東京SGにとっては踏ん張りどころでしたが、埼玉WK戦での失敗が生きました。ペナルティー数は8個と、埼玉WK戦から半減。不用意なペナルティーで神戸Sに流れを渡すことなく、トライを量産しました。14分、センターのケレビ選手のトライを皮切りに計8トライ。フルバックのマッケンジー選手、ウイングのテビタ・リー選手が揃ってハットトリックを達成するなど、56対17で公式戦4連敗中だった苦手の神戸Sを一蹴したのです。
試合後、フランカーで先発出場した小澤直輝選手は「チームとして前に進む、ひとつの負けだったのかなと思います」と前週の埼玉WK戦について触れ、ミーティングの内容を明かしました。「選手主体で4グループに分かれて、ミーティングを実施しました。そこで何でペナルティーが起きたのかというところまで、1人1人が考えるようになった」。“魔の24分間”が“良薬”になったというのです。
また中村選手は「(埼玉WKに)負けて課題が明確になったことで、約1週間かけていい準備ができました。今日はオフサイド、ノットロールアウェイを意識し、余裕を持ってディフェンスができていた」と語り、続けました。
「先週負けて、がっかりしてからのスタートでしたが、選手みんなで気持ちを切り替え、修正すべきところは修正できた。チームを誇りに思う」
リーグワンは11日から後半戦に突入します。初代王者を巡る激闘に期待が高まります。
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