
7日、東京・国立競技場で行われた関東大学ラグビー対抗戦101回目の早明戦は、明治大学が早稲田大学を25対19で破りました。これにより明大は6勝1敗、勝ち点35で5年ぶり19度目の対抗戦優勝を決めました。この試合、明大はスクラムでの苦戦が目立ちましたが、相手のキーマンを封じる作戦が功を奏しました。
ここまで、ともに5勝1敗。勝者が対抗戦優勝となる大一番ということもあり、国立競技場には約4万人の観客が集まりました。
先制したのは早大。前半18分、日本代表9キャップのフルバック矢崎由高選手が鋭いステップで明大ディフェンスを置き去りにし、トライエリア(インゴール)中央にグラウンディングしました。センター野中健吾主将のコンバージョンキックも決まり、早大が7点をリードします。
一方の明大は序盤に2度の反則を犯すなど、スクラムで苦しみましたが、ラインアウトモールで前進を図ります。接点でも優位に立ち、31分にはフランカー最上太尊選手がトライエリア右中間にねじ込みました。センター平翔太主将のコンバージョンキックも決まり、前半を10対10で終えました。
後半5分、明大スクラムハーフ柴田竜成選手がボックスキック。これを自陣でキャッチした早大ウイング山下恵史朗選手が、スタンドオフ服部亮太選手にパスを送ります。服部選手が陣地を挽回しようと、キックモーションに入ったところでプロップ田代大介選手が猛然とチャージ。田代選手の手に当たってこぼれた球をセンター東海隼が拾い、トライエリア右に飛び込み、明大が15対10と勝ち越しました。
後半28分にもトライチャンスがありました。走り込んだ1年生フルバック古賀龍人選手がパスを受ける際、ボールを前方に弾きます。それを自ら捕球してトライエリア中央にトライかと思われましたが、レフリーがノックフォワードと判断しました。
平主将によれば、「レフリーに確認したら『本当はトライだった』と」。
その3分後、ラインアウトモールから最上選手が、この日2つ目のトライ。「チーム一丸となって取れたトライ。僕だけではなくみんなで取った」と語りました。
その後、早大にPGを決められ、6点差まで迫られたものの、明大は持ちこたえます。25対19でノーサイドの笛を聞きました。
試合後、神鳥裕之監督はこう総括しました。
「早明戦は、素晴らしいライバルの早稲田さんがいて、自分たちがいる。そんな試合だった。スクラムは早稲田さんが対策してきて苦労した。それでも接点の部分で負けずにしっかりぶつかり合えたのが良かった」
平主将はチームスローガンの「完遂」を勝因に挙げました。
「危ないシーンはたくさんあったと思うんですけど、完遂というテーマにもあるように、最後の1分1秒までスキを見せずに戦うということは、しっかり全員の頭に叩き込んできた。最後まで諦めずに戦った結果が今日の勝利につながったと思っています」
明大に流れを持ってきたのは、後半5分の田代選手のキックチャージでした。殊勲の田代選手は「服部君がボールを捕球した時、ロングキックをするのはわかっていたので、わざと死角から入った」と明かしました。
服部選手は楕円球の中心を足の甲で蹴り、飛距離を出すスクリューキックの使い手です。自陣から一気に敵陣へボールを運ぶ“飛び道具”は、相手からすれば厄介極まりない武器です。その一方で、モーションが大きいという難点もあります。
明大はそこを狙ったのです。再び平主将。
「服部君はスクリューキックが持ち味なんですけど、蹴る間合いが長い。また決まった角度でしか蹴れないと思うので、それを頭に入れて、1、2週間準備してきました。それが実って良かった」
この試合、明大はキックモーションに入る服部選手に耐えずプレッシャーを掛け続けていました。前半だけでも4回。後半27分には、服部選手のミスキックを誘い、敵陣でのラインアウト獲得に成功しました。早大の司令塔を封じた明大に凱歌が上がりました。
この結果により、明大は全国大学ラグビー選手権をAシードで迎え、初戦は20日に東京・秩父宮ラグビー場での準々決勝からとなりました。対戦相手は14日に東大阪市花園ラグビー場で行われる関西学院大学(関西大学Aリーグ3位)と福岡工業大学(九州学生リーグ1位)の勝者です。一方、対抗戦3位となった早大は3回戦から。14日、秩父宮ラグビー場で関東学院大学(関東大学リーグ戦1部3位)と対戦します。
早大の矢崎選手は「もちろん悔しい気持ちは大きいけど、シーズンが終わったわけではない。選手権では(トーナメントで)もちろん苦しい山だけど、僕たちの優勝の道がなくなったわけではない」と決勝でのリベンジを誓っていました。
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