トップリーグ(TL)のトヨタ自動車ヴェルブリッツに所属する日本代表(ジャパン)のナンバーエイト姫野和樹選手が、スーパーラグビー(SR)のオタゴ・ハイランダーズ(ニュージーランド)に期限付き移籍することになりました。期間は来年1月から6月までの半年間。姫野選手は同時期に行われる予定のTLには出場しない方針です。
移籍先のハイランダーズはニュージーランド南島南部のダニーデンを本拠地とし、オールブラックス(ニュージーランド代表)に多くの選手を送り込んできた強豪チームです。ジャパンのジェイミー・ジョセフヘッドコーチ(HC)が指揮を執った2015年には、SRを制覇しています。過去にはスクラムハーフ田中史朗選手も在籍していました。
ジャパンのアタックコーチであるトニー・ブラウン氏(ハイランダーズHC)と同ストレングス&コンディショニングコーチのサイモン・ジョーンズ氏もチームに在籍しています。姫野選手にとっては心強い限りでしょう。
「ブラウニーもサイモンもいる。そういったところも(ハイランダーズを)選んだ理由のひとつです。僕のことをよく知っているし、僕に足りないものをブラウニーはわかっている。そこを伸ばすためにも、僕のことを理解している人がいるのはすごく大きいと思いました」
姫野選手の言う「足りないもの」とは何でしょう。
「オフロードパスなどのスキル。裏に抜けた選手のサポートに回り、トライをすること。その際の位置取りなど、ニュージーランドの選手たちに見えていて、僕には見えていないところがある」
W杯3度の優勝を誇るラグビー王国ニュージーランド。09年から約10年間、世界ランキング1位の座を守り続けました。
7年前に日本人初のSR出場を果たした田中選手は、王国の選手たちについて、こう語っています。
「ニュージーランドの選手は個々の能力が高い。それにゲームに対する理解力がすごい。どの選手もまわりがしっかり見えていますし、“こういう場面ではこうすべき”ということも分かっています。試合でうまくできなかった時は、次の練習ですぐにその課題克服に取り組む。彼らはラグビーに人生を懸けていると感じました」
姫野選手が海を渡ることを決意したきっかけは昨年のW杯日本大会です。日本人離れした屈強なバックロー(フランカー、ナンバーエイト)として全5試合に出場し、ジャパンのベスト8進出に貢献した姫野選手ですが、準々決勝の南アフリカ戦では強力FWに力負けし、いいところなく敗れ去りました。
「全ての面で負けてしまった」
試合後には、そう言って肩を落とす姫野選手の姿がありました。
「南アフリカ戦は満身創痍だった部分もあったので、自分のプレーが全然できなかった。逆にあの敗戦で“もっと強くなりたい”という思いがすごく強くなりましたね。SRというレベルの高いリーグは毎週毎週準備して戦う。その中でタフになれることは大きなメリットがある。それでSRに行くことを決めました」
そして、こう続けました。
「僕には今後、ラグビーを日本になくてはならない存在にしたいという夢がある。向こうで僕が活躍することで、子どもたちや選手たちに勇気や感動を与えることができるのではないか。それは日本ラグビーにとってもプラスになる。また自分が成長する上でも、居心地の良い日本を離れ、イチからハングリーにプレーすることが大事だと感じました」
日本協会は2023年W杯フランス大会の目標を「19年日本大会以上」(森重隆会長)に定めています。すなわちベスト4以上ということです。そのためには選手個々の底上げが前提条件となります。ジャパンのホープから大黒柱への成長が期待される姫野選手です。
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