南アフリカ(世界ランキング1位)、ニュージーランド(同2位)、オーストラリア(同6位)、アルゼンチン(同7位)の南半球強豪4カ国がホーム&アウェイの総当たりで優勝を争う「ザ・ラグビーチャンピオンシップ」(TRC)が8月14日(現地時間)、ニュージーランドと南アフリカで開幕しました。2023年W杯フランス大会でジャパンと同組に入ったアルゼンチンは南アフリカに連敗スタートとなりました。
昨年は新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、南アフリカが不参加。これにより南半球3カ国対抗(トライネーションズ)となったTRCですが、今年は南アフリカが復帰し、再び4カ国による総当たり戦に戻りました。
気になるのはアルゼンチンです。<ここ10年、世界で最も進化したチーム>。19年W杯日本大会前、ラグビーW杯公式ウェブサイトには、そう紹介されました。昨年のトライネーションズでは優勝したニュージーランド相手に30回目の対戦で初めて白星をあげました。近年のW杯順位は07年フランス大会3位、11年ニュージーランド大会ベスト8、15年イングランド大会4位、19年日本大会1次リーグ敗退――。
通常ならばホーム&アウェイで実施(今年は第3節からオーストラリアでの集中開催に変更)されるTRCですが、アルゼンチン国内で新型コロナウイルスの感染が拡大したため、いずれも南アフリカ南東部のポートエリザベスでの開催となりました。1戦目は12対32、2戦目は10対29で敗れたものの、光るものもありました。たとえばスタンドオフのニコラス・サンチェス選手の存在感です。
サンチェス選手は司令塔として10年に初キャップを記録して以降、積み上げた得点数はアルゼンチン代表史上最多の833点。W杯には3大会連続で出場。中でも15年イングランド大会での得点王が光ります。近年のロス・プーマス(アルゼンチン代表の愛称)の躍進は彼抜きでは語れません。
32歳は正確なキックと熟練のゲームメイクが持ち味です。身長177センチと大柄ではありませんが、突破力に優れ、トライを取り切る能力にも長けています。
2年後のW杯フランス大会、ジャパンにとって要注意人物であることは言うまでもありません。サンチェス選手には5年前、煮え湯を飲まされています。その試合を振り返りましょう。
16年11月、東京・秩父宮ラグビー場で行われた試合は、ジェイミー・ジャパンの初陣でした。ジャパンは前半6分にスタンドオフ田村優選手のPGで先制しましたが、6分後に試合をひっくり返され、そのまま引き離され、20対54と大敗を喫しました。サンチェス選手には8本のキック(5G、3PG)に加え、2トライを許すなど、やられ放題でした。
まずは6対11の前半35分。ラインアウトから抜け出したスクラムハーフのマルティン・ランダホ選手をサポートし、パスを受けるとインゴール左に悠々ボールを運びました。直後のコンバージョンキックも落ち着いたものでした。後半22分にはダメ押しトライ。敵陣深くに攻め込み、上半身の動きだけでマークをかわし、インゴール右に飛び込みました。
TRCの南アフリカ戦はどうだったのでしょう。14日の第1戦はスタメン出場でした。後半27分にドミンゴ・ミオッティ選手と交代するまで、4本のペナルティーゴール(PG)を成功させるなど、チームの全得点をその右足で稼ぎました。
1週間後の第2戦はベンチスタートでした。10番は25歳のミオッティ選手に譲りました。2人は後半20分に交代しましたが、ミオッティ選手は2本のPGを外すなど精彩を欠きました。
ミオッティ選手とサンチェス選手。SANZAAR(スーパーラグビーとTRCを運営する団体)公式サイトによると、60分出場したミオッティ選手のパス本数はたったの8本。出場時間が3分の1の20分だったにもかかわらず、サンチェス選手は彼の倍の16本を記録しました。コンディションの差もあったかもしれませんが、この数字からも現時点での2人の実力差は明らかです。ジャパンの分析班は優秀です。2年後のW杯に向け、サンチェス選手のクセや弱点、プレーの傾向の分析が始まります。
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