トップリーグの2020年シーズンは“大入り”で幕を開けました。1月12日に全国6会場で行なわれた全8試合の観客動員数は11万6737人。W杯以降もラグビー人気は続いています。
トップリーグは今季の観客動員目標を60万人に設定していました。過去最多が15-16シーズンの49万715人です。ここ3シーズンは16-17シーズン46万364人、17-18シーズン46万6446人、18-19シーズン45万8597人で推移していました。それゆえ目標はかなり高いハードルだと見られていました。しかし、開幕日の盛り上がりを見れば、上方修正してもよさそうです。
1月12日に行なわれた全8試合の観客動員数は以下の通りです。
2万3004人 神戸製鋼コベルコスティーラーズ対キヤノンイーグルス(神戸総合運動公園ユニバー記念競技場)
2万1564人 東芝ブレイブルーパス対サントリーサンゴリアス(秩父宮ラグビー場)
1万7722人 パナソニック ワイルドナイツ対クボタスピアーズ(熊谷スポーツ文化公園ラグビー場)
1万7072人 日野レッドドルフィンズ対NTTコミュニケーションズシャイニングアークス(秩父宮ラグビー場)
1万3985人 ヤマハ発動機ジュビロ対トヨタ自動車ヴェルブリッツ(ヤマハスタジアム)
8856人 NTTドコモレッドハリケーンズ対三菱重工相模原ダイナボアーズ(花園ラグビー場)
7318人 リコーブラックラムズ対Hondaヒート(花園ラグビー場)
7216人 宗像サニックスブルース対NECグリーンロケッツ(レベルファイブスタジアム)
神戸市のユニバー記念競技場にはジャパンのスクラムハーフ田中史朗選手の姿がありました。今季からはキヤノンでプレーしています。
前シーズンの覇者・神戸製鋼に16対50で敗れたものの、試合後は清々しい表情を浮かべていました。
「感謝です。4年間頑張ったことが間違いではなかった」
田中選手には苦い思い出があります。今から4シーズン前、秩父宮ラグビー場で行なわれた15年W杯イングランド大会直後のシーズンの開幕戦は、サントリー対パナソニックの好カードだったにも関わらず“前年割れ”(1万1162人→1万792人)となってしまったのです。前売り券完売と発表されたものの、ゴール裏やバックスタンドには空席が目立ちました。
イングランド大会で南アフリカを破るなど3勝をあげたジャパンの戦士たちの落胆は大きく、それを代表するかたちで当時パナソニックに所属していた田中選手は、こう声を上げました。
「ラグビーが負けた日です」
同じ轍は踏まない――。11万6737人という数字は、ラグビーに関わる人たち全ての思いの結晶だったと言っていいかもしれません。
トップリーグの太田治チェアマンは開幕前のプレスカンファレンスで「トップリーグとしてもW杯の熱を冷まさないように、取り組んできたい。“にわかファン”と呼ばれている人たちをメインターゲットにSNSでの発信を目的にこういったフォトスポットを秩父宮、花園をメインに設置して展開していきたいと思っています」と抱負を口にしていました。
各会場に設置されたオリジナルのフォトスポットは概ね好評だったようです。秩父宮ラグビー場では、<♯にわか>というフォトスポットで記念撮影しているファンを多数見かけました。
12日、最も早くキックオフを迎えた日野の細谷直監督は、試合後、気を引き締めるように、こう語りました。
「トップリーグに所属しているチームとしての責任は、“にわかファン”と呼ばれている方々に、もっとラグビーの楽しさを知っていただき、“こんなに素晴らしいスポーツが日本で行われているんだ”ということを、この5カ月の中で見せていくこと。観客が多い中でプレーすることで選手たちは一番力を発揮できる。この雰囲気を消さないようにしたい」
また田中選手は「ブームを文化に」とも語っていましたが、開幕日の熱気が2節以降も続く保証はどこにありません。
地域に根差したクラブづくり、ホームスタジアムの確保、法人格の取得などは、これまでの「企業スポーツ」から脱皮する上で、避けては通れない道です。プロ化に向けての改革は、まだ始まったばかりです。
データが取得できませんでした
以下よりダウンロードください。
ご視聴いただくには、「J:COMパーソナルID」または「J:COM ID」にてJ:COMオンデマンドアプリにログインしていただく必要がございます。
※よりかんたんに登録・ご利用いただける「J:COMパーソナルID」でのログインをおすすめしております。