2023年W杯フランス大会で「ベスト4以上」を目指すジャパンのキャプテンが、15年イングランド大会、19年日本大会でキャプテンを務めたフランカーのリーチ・マイケル選手から、フランカーの“ラピース”ことピーター・ラブスカフニ選手に代わりました。ラブスカフニ選手は「良いキャプテンになりたい。ベストなキャプテンになりたい」と抱負を口にしました。
新キャプテンが発表されたのは今月2日です。宮崎合宿の初日、ジェイミー・ジョセフヘッドコーチ(HC)から以下のような説明がありました。
「ラピースは生まれながらのリーダーシップを持っており、安定感がある。日本でプレーしているので日本語はある程度分かっているし、英語も話せる」
新キャプテンの重責を担うラブスカフニ選手は「日本代表のキャプテンになることは光栄で名誉な気持ち」と語り、こう続けました。
「細かいマネジメントをしていくわけではありません。このチームにはたくさんのリーダーがいます。それをひとつにし、チームとして機能させ、成長していく。それがパフォーマンスに反映し、素晴らしい結果を出せると思っています」
ゲームキャプテンではありますが、短期間ながらリーチ選手からラブスカフニ選手へのキャプテン交代は、過去にもありました。2年前のW杯日本大会、1次リーグのアイルランド代表戦でスタメンを外れたリーチ選手に代わってラブスカフニ選手がゲームキャプテンを務めました。続くサモア代表戦でリーチ選手はスタメン復帰を果たしたものの、ゲームキャプテンはラブスカフニ選手のまま。サモア代表戦のレフリーがラブスカフニ選手と同じ南アフリカ出身だったことも理由のひとつでした。
ラブスカフニ選手の、このゲームにおけるチームマネジメントは見事でした。敵陣でペナルティーを獲得すると、迷わずショットを選択。着実に得点を重ね、38対19の快勝につなげました。
それにしても、なぜこの時期に19年W杯日本大会ベスト8進出の立役者であるリーチ選手から肩書を取り去ったのか。ジョセフHCには次のような狙いがありました。
「リーチはハードに練習もしてくれますし、リーダーとしても素晴らしい選手。これまでも素晴らしいリーダーシップを発揮してくれた。自分たちとしては、そこで彼がキャプテンから外れてラグビーにフォーカスできる環境をつくることが、チームにとっていいことだと考えました」
日本大会後のリーチ選手は、足首や股関節などを手術し、満身創痍の状態でした。今年6月のブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズ戦、7月のアイルランド代表戦に出場したものの、本人は<「最終戦(アイルランド代表戦)は一番良かったけど、後は本当に何もできなかった。ミスはしないけど、それだけ。インパクトのあるプレーができなかった」>(「日経経済新聞電子版」2021年9月10日配信)と不本意だったようです。
元々、リーチ選手は言葉ではなくプレーで味方を鼓舞するタイプのリーダーです。先述したように、体にはいくつもの古傷を抱え、全盛期のプレーを望むのは酷な状況です。年齢も、今月で33歳なりました。ここから先は周囲に気を使わず、プレーに専念して欲しいという思いがジョセフHCにはあったはずです。
ジョセフHCは、今回のラブスカフニキャプテン体制について「現状ではこのツアーだけと考えている。そこから再評価をしていく」と話しています。
指揮官の言う「このツアー」とは、10月23日の大分でのオーストラリア代表戦とヨーロッパでの3試合(11月6日・アイルランド代表戦、13日・ポルトガル代表戦、20日・スコットランド代表戦)を指しています。いわゆる“お試し期間”です。新キャプテンのリーダーシップはもちろんですが、キャプテンの重責から解き放たれた“新生リーチ”選手のプレーにも注目です。
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