リーグワンディビジョン1のリーグ戦は4月7日に第12節を終了し、あと4節となりました。上位4チームまでが進めるプレーオフ争いは、1位の埼玉パナソニックワイルドナイツ(勝ち点56)が進出確定。以下、2位・東芝ブレイブルーパス東京(同50)、3位・東京サントリーサンゴリアス(同43)、4位・横浜キヤノンイーグルス(同38)となっています。今回は2年連続プレーオフ進出を目指すイーグルスにスポットを当てましょう。
イーグルスは4月6日に行われた第12節(東京・駒沢オリンピック公園総合運動陸上競技場)、リコーブラックラムズ東京に31対12で勝利し、5位から4位に浮上しました。それでも5位コベルコ神戸スティーラーズとの勝ち点差はわずか4。まだ予断を許しません。
今季のイーグルスの特徴として、反則数の少なさがあげられます。リーグ最少タイの101個。1試合平均8.4。昨シーズンが11.3ですから、4分の1程度減らしています。
ブラックラムズ戦後の記者会見で、イーグルスの沢木敬介監督にその点を質すと、「(反則を減らすための)練習をメチャメチャしています」と答えが返ってきました。
「ウチのスタッフにレフリーのライセンスを持っている者がいます。相当厳しいレフリングの基準でトレーニングをやっている。ちょっとでもグレーなプレーをしたらペナルティーという状況をつくっています」
そのスタッフとは、今季からグラウンド広報の任に就いた道添文土氏です。
「監督から厳しくジャッジするように言われていますので、普通の試合では見逃されるような微妙なプレーでも笛を吹きます。吹かなかったとしても、『これはレフリーによっては反則をとるよ』と選手とコミュニケーションをとっています」
それだけではありません。道添氏が練習にレフリーとして参加した際には、アナリストと協力し、「その週の試合を担当するレフリーに近いジャッジ傾向になるように努めている」そうです。
選手たちにも話を聞きました。
「そこ(反則を減らすこと)は僕たち選手たちもこだわっていますし、練習でレフリー役を務めるコーチやスタッフが本当に厳しく見てくれている。それが試合につながっているのだと思います」(フランカー嶋田直人選手)
「昨季は規律の乱れで落とした試合が多かった。しっかり(反則を減らそうと)取り組んで、それが成果となっている」(フランカー、コーバス・ファンダイク選手)
「レフリーの特徴を把握し、“ここを気を付けよう”と共有できているので、(頭が)クリアな状態で試合に臨めています。それが反則が減っている要因だと思います」(ウイング竹澤正祥選手)
レフリングの分析といえば、沢木監督がコーチング・コーディネーターとして仕えた現ヘッドコーチ・エディー・ジョーンズさんの得意技です。W杯イングランド大会で南アフリカ代表を34対32で下した“ブライトンの奇跡”。笛を吹いたジェローム・ガルセス氏のレフリングのクセを、エディーさんが本番前から分析していたのは有名な話です。
話をイーグルスに戻しましょう。今シーズンから意識的に取り組んでいる規律改善の成果が表れたのが、第11節(東京・秩父宮ラグビー場)のサンゴリアス戦でした。
前半を終え、イーグルスの10対35。だが、後半に入って息を吹き返します。フッカー中村駿太選手のトライを皮切りに計3トライをあげ、残り8分で34対35と1点差に迫ったのです。
規律が乱れたのはサンゴリアスの方でした。試合終了間際、イーグルスはゴールまで約25メートルの位置でペナルティーを獲得。田村選手がPGを決め、37対35。最大25点差をひっくり返しての逆転勝利でした。
この試合の反則数はサンゴリアスが10に対し、イーグルスはわずか2。80分間通して高い規律を維持したことが勝利を引き寄せました。
しかし、ラグビーは水物です。サンゴリアス戦から2週間後のブラックラムズ戦では、今季ワーストとなる19反則。沢木監督は試合後、反省点を口にしました。
「レフリーへの見せ方も大事なんです。ゲームのシチュエーションによっては、レフリーも人間ですから際どいプレーが反則に見えることもある。そういう時こそクリアに見せる対応の仕方をしなければいけません」
イーグルスの今シーズンのスローガンは「NEXT LEVEL」。次の扉を開くための戦いが続きます。
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