リーグワン・ディビジョン1の埼玉パナソニックワイルドナイツが初代王者に王手をかけました。決勝の相手はリーグ戦1位の東京サントリーサンゴリアスです。昨季トップリーグ(TL)を制した埼玉はリーグ2位でプレーオフトーナメントに進出。5月22日の準決勝では、クボタスピアーズ船橋・東京ベイを24対10で破りました。“連覇”のカギを握るのが埼玉のウイング竹山晃暉選手です。
奈良県出身の竹山選手は御所実業、帝京大を経て2019年、パナソニック(現・埼玉)に入団しました。父・和彦さんは大相撲元幕下の力士という変わり種。角界ではなく楕円球の世界に飛び込んだ竹山選手は、50メートル6秒0の俊足を生かしたランが持ち味のトライゲッターです。御所実では3年時に花園準優勝。帝京大では1年時からレギュラーとなり、同大の全国大学選手権7~9連覇に貢献しました。
昨季TLではリーグ戦7試合に出場し、6トライの活躍で新人賞(20年度のシーズンが中止となったため、19年度入団と20年度入団の選手が1人ずつ選ばれた)を獲得しました。今季はリーグ戦13試合に出場し、同3位タイの10トライをあげました。
5月9日に発表された2022年度ジャパン候補に選出され、昨季引退した福岡堅樹さんの後継者としての期待がかかります。主なポジションはウイングで、相手のディフェンスラインを切り裂くスピード、勝負どころでトライを取り切る決定力など、重なる部分があります。
竹山選手の所属する埼玉は今季、リーグ戦最少失点こそ東京SG(286失点)に譲りましたが、不戦敗分(42失点)を除けば1試合平均失点18.3となり、リーグ最少です。チームの堅守に竹山選手も一役買っています。
「入団してから、ディフェンスで課題がたくさんある中で(監督の)ロビー(・ディーンズ)さんからも『ディフェンスで貢献するように』と言われてきました。少しずつ改善されてきていると思います」
特にディフェンス面での成長が窺えたのが、プレーヤー・オブ・ザ・マッチに輝いたS東京ベイとのプレーオフ準決勝でした。
今季最多の1万5482人が詰めかけた東京・秩父宮ラグビー場を大いに沸かせたのは、埼玉が7対3とリードして迎えた前半38分です。埼玉はS東京ベイが得意とするラインアウトからのモール攻撃に耐え、インゴールの侵入を許しませんでした。
S東京ベイはたまらず左に展開。左サイドでボールを持ったスタンドオフのバーナード・フォーリー選手はさらに外にパスをつなげようとしました。外には3人の味方が並んでいます。
この時、埼玉のセンター、ハドレー・パークス選手はフォーリー選手にタックルを仕掛けにいっており、外には竹山選手とロックのエセイ・ハアンガナ選手しかいませんでした。数的不利の状況で、あわやトライかというシーン。
ここでフォーリー選手のパスをかっさらったのが竹山選手でした。快足を生かし、90メートルを独走。フルバックのゲラード・ファンデンヒーファー選手の追走も振り切り、インゴール中央にダイブしました。スタンドオフ山沢拓也選手がコンバージョンキックを決め、14対3とリードを広げました。
もし、あそこでトライを許していれば逆転され、7対10となっていた可能性もあります。相手に流れを渡さなかったという点で、文字通りのビッグプレーでした。
前半で2ケタのリードを奪った埼玉は後半、切り札のフッカー堀江翔太選手を投入し、24対3とS東京ベイを突き放します。終了間際に1トライ1ゴールを許したものの、24対10で完勝し、東京・国立競技場での決勝にコマを進めました。
竹山選手は試合後、会心のインターセプトについて、こう説明しました。
「試合中、『アウトサイドを狙っていこう』という話し合いが僕には聞こえていたし、バーナード・フォーリーさんの目を見ながらうまくディフェンスできたと思います。スクラムハーフからボールをもらった時に、フォーリーさんの目線は確実に外に向いていた。(インターセプトを狙うために)あまりラインを上げ過ぎるとボールキャリーされてしまうし、退き過ぎてしまってもいけない。ポジショニングを大事にしました」
そして、こう続けました。
「インターセプトはギャンブルと言われますが、僕の中ではギャンブルではないんです。取れることを確信していた。自分のディフェンスのスキルだと思っています」
重要なのは“勝負勘”です。日曜日は勝負勘に磨きのかかった25歳のプレーに注目です。
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