W杯フランス大会に向けたジャパンの千葉・浦安での強化合宿は、第2クールに突入しました。初日の6月19日には、主にバックファイブ(ロック、フランカー、ナンバーエイト)強化のため、新たに導入したスクラムマシンが報道陣に公開されました。
第1クール最終日(6月16日)の時点では、まだ練習グラウンドに置かれた物体はブルーシートで覆われたままでした。
第2クールのスタートとともに全貌が明らかになりました。セットプレーを指導する長谷川慎アシスタントコーチ(AC)によれば、ニュージーランド製のマシンに、インターネット通販サイトで購入したエアコンプレッサーとポリタンクを合体させたもの。
マシン単体の重さは200キロ。地面との間には1.6トンのコンクリート板が設置されています。その板の上に搭載した巨大なポリタンクに水を流し込むと、総重量は2.8トンになります。大相撲元大関・小錦さんの現役時代の最高体重が285キロですから、小錦さん約10人分の重量です。
もちろん、この新マシン、重さだけが売りではありません。エアコンプレッサーで、スクラムの強度をコントロールし、マシン側から選手を押し返す力を生みだすことができるのです。両脇にはジャージーが被せてあり、スクラム最前列の両サイドを担うプロップが手で掴むことができます。少しでも実戦に近付けたい、との長谷川ACの狙いが込められています。
「8人の力を漏らさず伝える」。かつて長谷川ACはそう語っていました。ベスト8に進出2019年W杯日本大会ではフォワード8人の足や指の位置、ヒザや足首の角度にまでこだわりました。相手に押し込まれることが当たり前だった時代は、もう昔です。それは19年大会でフッカー堀江翔太選手が「慎さんのスクラムをやれば押されない」と話したコメントからも明らかです。
かつてスクラムを組む際に100個以上のチェックポイントを設けている、と言われたことからも分かるように、細部にこだわるのが長谷川流です。
「“100枚くらいの資料がある”と言ったのが、どういうわけかそんな(100個以上のチェックポイントを設ける)話になりました。でも、作った資料は3000、4000枚。試合前には対戦相手の過去のスクラム映像を500回以上は見て、それで資料を作ります。スクラムを組む前、組んだ瞬間、組んだ後に分けて考えました」
16日には日本ラグビー協会の公式YouTubeで、実際に選手たちがスクラムマシンと“対決”する模様がアップされました。体をプルプル震わせながらスクラムを組む選手を見ていると、その強度の程がうかがえます。
選手の反応はどうでしょう。フランカー姫野和樹選手は新マシンについて「すごく面白い」と語り、こう続けました。
「すごく圧がかかってくる。ケガのリスクも抑えながらトレーニングのきつさもある。(従来のものとは)全然違う。(これまでのものはマシンが)受けるだけだったが、あっちからもプレッシャーがくる。対人のイメージでやれる」
マシンのメリットとして対人で組むよりケガのリスクが少ないことがあげられます。現在は対人とマシンを1日交代で使い分けています。
この新マシンは、7月からスタートする宮崎合宿にも持参します。バックファイブ強化の切り札となるのでしょうか。W杯フランス大会開幕まで、残り80日を切りました。
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