3季目のリーグワンが、12月9日にスタートしました。ニュージーランド、南アフリカをはじめとする強豪国からビッグネームが続々と加入した効果もあり、ディビジョン1開幕節(6試合)の平均観客数は、昨季の8552人を大きく上回る1万1763人を記録しました。今回は東京・味の素スタジアムでリーグワンデビューを果たしたニュージーランド代表(オールブラックス)のスタンドオフ、リッチー・モウンガ選手(東芝ブレイブルーパス東京)にスポットを当てます。
モウンガ選手は、ニュージーランド南島のクライストチャーチ出身の29歳。スーパーラグビー・パシフィック(SRパシフィック)の強豪クルセイダーズの司令塔として、SRパシフィック(前身のSR、SRアオテロアを含む)7連覇に貢献しました。オールブラックスでは通算56キャップを記録、3位に入った2019年W杯日本大会、準優勝の23年フランス大会での活躍は記憶に新しいところです。
彼は身長176センチ、体重83キロと決して大柄ではありませんが、キック、パス、ランのスキルに長けた万能型の司令塔です。
開幕前の記者会見では、こう意気込みを語りました。
「今回の経験は、自分のラグビーの能力を違う環境で試すチャンスだと思っています。このチャンスをくれた東芝のオファーを光栄に思うし、リスペクトしている。自分がここからやることはすべての学びを生かして、すべてを東芝のために費やすことです」
通常、オールブラックスの選手はニュージーランド協会と契約を結びます。国外でプレーする際には、サバティカルという制度を利用し、チームとの契約は1年というケースが一般的です。
2021年に東京サントリーサンゴリアスでプレーし、今季はトヨタヴェルブリッツの一員として開幕戦(対リコーブラックラムズ東京)に出場したスタンドオフ/フルバックのボーデン・バレット選手もサバティカルを利用しての単年契約です。それだけにモウンガ選手の3年契約は異例と言っていいでしょう。
その狙いは、どこにあるのでしょう。
「サバティカル(休暇)という言い方は好きではない。自分にとって休養ではないし、1シーズンだけのものでもない。全ての覚悟を持って、このクラブでプレーしたい。リタイヤするまで、プレーすることも考えている」
未知のリーグに乗り込み、自らのキャリアを豊かなものにするには1シーズンだけでは短過ぎる。最低でも3シーズンはプレーしないことには、本領は発揮できないし、新しい自分も発見できない――。モウンガ選手が口にした「全ての覚悟」とは、そういうことではないでしょうか。その意味でブレイブルーパスは、いい選手をとったものです。
12月9日、静岡ブルーレヴズ戦でモウンガ選手はリーグワンデビューを果たしました。コンバージョンキックを前半だけで3本失敗するなど不調でしたが、後半はきっちり修正して3本すべてを成功させました。この日、ブレイブルーパスが挙げた7トライ中5つがモウンガ選手を経由したもの。22対23の後半15分には、右サイドへの鮮やかな飛ばしパスで、ウイングのジョネ・ナイカブラ選手の逆転トライを演出しました。フル出場し、8得点。43対30の勝利に貢献しました。
試合後のリーチマイケル主将のモウンガ評です。
「何よりも賢さがある。チームをどうやって前に出すか、ゲームコントロールがすごく優れている。その場でわかりやすいプランを立ててくれて、ボールを持ったら自らアクションを起こせる。パスもうまいし、スピードもある。困った時は自分で打開できる10番(スタンドオフ)」
チームへの貢献度は、フィールドの中だけにとどまりません。リーチ選手は「若手のパス練習に付き合ったり、10番や9番(スクラムハーフ)の選手を指導してくれている」とも語っていました。
ブレイブルーパスは2009-10シーズン以来、リーグ優勝から遠ざかっています。モウンガ選手はV奪回の切り札になれるのでしょうか。
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