「この1~2週間の動向が、国内で急速に感染が拡大するかどうかの瀬戸際」。新型コロナウイルス感染症対策専門家会議の見解を受け、日本ラグビー協会は2月29日から3月8日までに予定されていた第7節、第8節全16試合の延期を決めました。
昨秋のラグビーW杯日本大会の盛り上がりを受け、トップリーグの観客動員数は過去最多を上回るペースで推移していました。
過去最多は2015-16シーズンの49万715人です。それが第6節を終えた時点で既に42万人を記録していました。最終的には100万人に達すると見られていただけに残念でなりません。
延期に至った背景についてTLの太田治チェアマンは「お客様、選手、チーム関係者、スタッフの安全を第一に考えた」と語りました。苦渋の決断だったことが窺えます。
第9節(3月14日、15日)の試合開催については、感染の状況を見ながら今月9日頃に判断する予定です。再開が遅れれば、中止の可能性もあります。
もちろんファンサービスに力を入れるTLは、中断期間中も手をこまねているわけではありません。ファンサービスの一環として動画配信などに力を入れる、と太田チェアマンは語っていました。Twitter、FacebookといったSNSで、これまでのプレー動画や小ネタ写真をUPすることで、ファンの歓心を買っています。
コロナ余波はスーパーラグビーにも及んでいます。サンウルブズは今月8日と14日に開催予定だった国内でのホームゲーム2試合を国外で開催すると発表しました。2試合とも前売りチケットは約1万枚売れていましたが、サンウルブズを運営するジャパンエスアールの渡瀬裕司CEOは<「相手チームに不安なく試合に臨んでもらうのは、ホスト側の責任」>(「日刊スポーツWEB版」2020年2月27日配信)と語っていました。
また高校ラグビーは今月24~31日に埼玉・熊谷で開催予定だった第21回全国高校選抜大会の中止を発表しました。同大会の中止は東日本大震災の直後の2011年以来2回目です。日本ラグビー協会の新井均特任理事は「高校生の憧れの大会として“冬の花園”に次いで“春の熊谷”が定着し、試合を楽しみにしていた多くの皆様に心よりお詫び申し上げます」とコメントしました。
ラグビーはモールやラック、スクラムなどという用語に代表されるように密集の中でボールを奪い合う激しいスポーツです。
選手やレフェリーの感染リスクが心配になります。
ちなみに厚生労働省のHPで感染のリスクが生じる濃厚接触について以下のように記しています。
<濃厚接触かどうかを判断する上で重要な要素は二つあり、①距離の近さと②時間の長さです。必要な感染予防策をせずに手で触れること、または対面で互いに手を伸ばしたら届く距離(目安として2メートル)で一定時間以上接触があった場合に濃厚接触者と考えられます。新型コロナウイルス感染症対策専門家会議では、対面で人と人との距離が近い接触(互いに手を伸ばしたら届く距離で2メートル程度)が、会話などで一定時間以上続き、多くの人々との間で交わされる環境は感染を拡大させるリスクが高いとされています>
逆説的に言えば、「濃厚接触」なくしてラグビーは成り立ちません。そこが悩ましいところです。
新型コロナウイルスの感染拡大を「国難」と語ったのはJリーグの村井満チェアマンですが、「国難」であるのなら、国民が一体となって立ち向かうしかありません。後手後手に回る政府や行政の対応を見るにつけ、「ワンチーム」の大切さが身に染みる年度末です。
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