日本ラグビーフットボール協会は7月4日、ラグビーW杯で使用するジャパンの新ジャージーを発表しました。カンタベリーニュージーランドジャパン(CNJ)社製の“戦闘服”でジャパン史上初の決勝トーナメント進出を目指します。
4日の新ジャージー発表会見では、選手たちから好評価の声が相次ぎました。
そのいくつかを紹介しましょう。
「僕が一番気に入っているのは脇のところが伸びるのと、肩が滑らないこと」(キャプテンでフランカーのリーチ・マイケル選手)
「僕はフロントローなのでスクラムの際には味方のジャージーを掴まなければいけません。タイトな感じですけど、いい感じにルーズ。僕的にはうれしいです」(フッカーの堀江翔太選手)
「ウイングは攻撃の場面でこちらのジャージーに相手の指がかかるか、かからないかが大きな分かれ目となる。このかかりにくさはいい方向に働くと思います」(ウイングの福岡堅樹選手)
今回の新ジャージーはフロントロー(プロップ、フッカー)用、セカンドロー(ロック)とバックロー(フランカー、ナンバーエイト)用、バックス(スクラムハーフ、スタンドオフ、ウイング、センター、フルバック)用とポジション別に3タイプに分かれています。前回の 2015年イングランド大会では、フロントローとそれ以外の2タイプでした。
その理由を、総責任者として新ジャージー開発に携わったCNJ事業部長兼企画グループマネージャー・石塚正行さんは、こう語ります。
「バックスの選手はより軽快に動けるように軽量化を求めてきます。一方でフォワードの選手はコンタクトが多いので体を保護するホールド感と耐久性を重要視している。バックスとフォワードは明らかに求めているものが違うと再認識しました。フロントローは胸囲が発達している特殊な体型をしている選手が多い。そのため前回はフロントローとそれ以外でシルエットを分けて製作しましたが、今回は前回を超えるために素材の開発から見つめ直しました」
前回のジャージーは、フロントローとそれ以外で形状が異なるものの、素材は同じでした。今回は糸から選び直し、2年かけて新素材を開発したといいます。またフォワード用とバックス用では編み方が異なります。より具体的に述べれば、フォワード用は経編(たてあみ)で、凹凸をつけ厚みを持たせました。しかも軽量です。一方、バックス用は丸編(まるあみ)ですが、前回より伸縮性に優れ、こちらも、さらなる軽量化が図られました。
CNJによれば、基本性能は前回に比べ、耐久性・軽量性・運動性・快適性のすべてにおいて向上したといいます。とりわけ選手に好評なのが、動いた時にジャージーの生地が歪む割合を数値化した伸長率。低ければ低いほど動作時の抵抗が少なくなります。パス動作で比較すると前回が約28%に対し、今回は約18%でした。
新ジャージーの売り物は機能性だけではありません。デザインは「錯視効果」を狙った仕上がりになっています。その一例としてジャージーの前の部分は白地に赤いV字状のラインが描かれています。後ろはその逆です。
このV字と逆V字がミソです。相手を威嚇する効果があるというのです。
「デザインとしても選手にアドバンテージを与える。これは 2015年モデルから続けています。同じような効果を持たせつつ、今回は日本人のスピリットを採り入れました。前面のV字は兜を、背面は富士山をモチーフにしています」(石塚事業部長)
視覚効果と言えば、2014年ブラジルW杯でのサッカー日本代表のユニホームが思いだされます。たとえば円陣を組んだ際、一人一人の背中の赤いラインが、グルッとつながって見えたのです。上から見るとその様子がはっきりと確認され、スタンドのサポーターとの一体感を醸成するのに一役買いました。残念ながらブラジルW杯は1次リーグ敗退に終わったものの、ファンやサポーターには好評のユニホームでした。
ラグビーに話を戻しましょう。新ジャージーには、戦国時代の鎧のような重厚感があります。キャプテンのリーチ選手は「日本の文化とデザインが入っている。チームのカルチャーにつなげていきたい」と抱負を述べました。新しい鎧を身にまとっての初陣は7月27日、パシフィックネーションズカップでのフィジー戦です。実際のプレーにどんなアドバンテージをもたらせるのか、目を皿のようにして確認したいものです。
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