U20日本代表の新ヘッドコーチ(HC)に、サントリー(現・東京サントリーサンゴリアス)で監督、サンウルブズでHCを務めた大久保直弥さんが就任しました。任期は2025年までの2年です。
「エキサイティングなオファーでした」
9月6日に行われた就任記者会見の場で、大久保さんは開口一番、こう言いました。
「ラグビーに長く関わってきて、今までのカテゴリーとは違うものだったので少し驚きました。これは自分自身へのチャレンジと思っています。これまで自分が積み重ねてきたコーチング、ラグビースキルを用い、いかに20歳前後の選手たちに新しい武器を持たせてあげられるか」
U20日本代表は、6月から7月にかけて南アフリカで行われた「ワールドラグビーU20チャンピオンシップ2023」(チャンピオンシップ)で5戦全敗の最下位に終わりました。来季は下部大会の「ワールドラグビーU20トロフィー」(トロフィー)で戦います。
アンダーカテゴリーの強化は、トップチームの押し上げにも直結します。
大久保さんが「27年、31年、日本協会が開催を目指す35年のW杯に向けて、1人でも多くの人材を育てていきたい」と語ったのは、自らのミッションを理解しているからです。
また会見で、大久保さんは今年のチャンピオンシップを振り返り、「55対145」という数字をあげました。これは全5試合における日本と対戦相手の前半のスコアです。
「トータルで見れば3倍近く前半に点差を付けられている。そうなると後半は(リスクを冒してでも)攻めるしかなくなり、それが単調なラグビーに陥っている原因のひとつ。前半をどう戦うか、チーム全体で意思統一し、突き詰めていければと思っています」
5試合中、リードして前半を終えたのは1試合のみ。すなわち大久保さんは立ち上がりの悪さを最大の敗因と見ているのです。
では、前半に失点しないためには、どうすればいいのでしょう。
「イメージとしては相手にスキルを使わせないこと。チャンピオンシップの試合を観ていても、上位チームはスキルが高く、フル代表と遜色ないように思えます。彼らに存分にスキルを発揮されたら終わり。考える時間を与えないくらいのハイプレッシャーをどれだけ継続できるかがテーマです」
大久保さんはサントリーでFWコーチを2シーズン、監督を3シーズン務め、チームの日本選手権3連覇、トップリーグ2連覇に貢献しました。スーパーラグビーではサンウルブズのアシスタントコーチを2年、HCを1年務めました。現在、47歳。指導者としては、これから脂が乗るところです。
選手としては99年、03年のW杯にFWとして出場しています。
地元紙から「ブレイブ・ブロッサムズ」と称えられたスコットランド戦は、今も語り草ですが、そのゲームにも出場しています。
世界と戦った経験を、かつて大久保さんは次のように語りました。
「フィジカルのレベルの違いが大きかったですね。コンタクトでの疲労度は、国内の試合では経験できないものでした。相手とぶつかると骨がきしむような感覚なんです。しかも経験も不足している。99年にウェールズと現地で試合をした時は、大観衆がスタンドに詰めかけて声援を送るので、グラウンドの中で選手同士のコミュニケーションがとれないほどでした。そういったラグビーに対する文化の違いも感じましたね」
04年にはニュージーランドのサウスランド州選抜でもプレーしています。
「世界一のオールブラックスを、ニュージーランドの各クラブが支えているんだと実感しました。練習ウェアがボロボロだったり、決して環境が良くなくても、みんながラグビーを楽しんでいる。雨も多くてグラウンドもドロドロなのに、その中で、ものすごいステップを切っていくんです。タフなところから、強い選手がどんどん生まれていくのを目の当たりにしました」
こうした若き日の経験が、その後、指導者に転じる上で、大きな影響を与えたことは言うまでもありません。
鉄は熱いうちに打て――。大久保流の熱血指導に期待がかかります。
データが取得できませんでした
以下よりダウンロードください。
ご視聴いただくには、「J:COMパーソナルID」または「J:COM ID」にてJ:COMオンデマンドアプリにログインしていただく必要がございます。
※よりかんたんに登録・ご利用いただける「J:COMパーソナルID」でのログインをおすすめしております。