最後のトップリーグ(TL)を制したのは、パナソニックワイルドナイツでした。23日に東京・秩父宮ラグビー場で行われた日本選手権決勝を兼ねたTLプレーオフ決勝においてサントリーサンゴリアスを31対25で下し、5年ぶりの2冠を達成しました。パナソニックはTL5回目の優勝。優勝回数でも東芝ブレイブルーパス、サントリーに並びました。
2003年にTLがスタートして以降、パナソニックとサントリーは熾烈なライバル争いを繰り広げてきました。決勝戦前の時点で、両チームによる頂上決戦は、日本選手権を含めて10度あり、通算戦績はサントリーの6勝4敗。
今季、無敗のまま決勝まで勝ち進んできたチーム同士の対戦は“最強の矛と盾の戦い”とも言われました。
「アグレッシブ・アタッキングラグビー」を標榜するサントリーは、得点王に輝いたニュージーランド代表スタンドオフのボーデン・バレット選手を擁し、決勝までの9試合で72トライを量産しました。リーグ最多522得点、1試合平均58得点を誇る破壊力抜群の矛です。
一方、「鉄壁の盾」はパナソニック。19年W杯日本大会で活躍したフッカー堀江翔太選手、プロップ稲垣啓太選手らが強力なFW陣を形成し、決勝までの10試合でリーグ最少122失点、1試合平均はわずか12.2失点でした。
試合は開始早々に動きました。パナソニックはキックオフから自陣でバレット選手のパスをセンターのディラン・ライリー選手がインターセプト。そのまま50メートル以上を独走し、インゴールど真ん中に飛び込むトライで先制します。
その後もパナソニックが優位に試合を進めます。14分、25分、相手のペナルティーを誘い、PGで着々と得点を追加。30分には、この試合を最後に現役を引退するウイング福岡堅樹選手が左サイドを切り裂き、トライをあげ、前半を23対7で終えました。
後半に入り、3年ぶりの王座奪還に燃えるサントリーは息を吹き返します。開始早々にウイング中靍隆彰選手のトライで5点を返すと、30分にはスクラムハーフ齋藤直人選手のトライなどで19対28と迫りました。
残り時間約10分で、点差は9点。勝敗の行方はわかりません。
32分、自陣でボールをキープするサントリーに“野武士軍団”が襲いかかりました。プロップ石原慎太郎選手に対し、フランカー福井翔大選手がボールを奪い取ろうと激しく絡みます。ここで笛。ノットリリース・ザ・ボールの反則を誘い、ペナルティーを獲得。ゴールほぼ正面約25メートルのPGをスタンドオフ山沢拓也選手が落ち着いて決め、12点差とリードを再び2ケタに戻しました。福井選手のジャッカルは、サントリーの勢いを削ぐ値千金のプレーでした。試合後、サントリーのセンター中村亮土キャプテンは「ペナルティーを取られてしまったのは、パナソニックの強さかな」と相手の巧さを称えていました。
パナソニックは終了間際に1トライ1ゴールを返され、最後は1トライ差まで迫られたものの、31対26でノーサイド。15-16シーズン以来、5年ぶりの2冠に輝き、福岡選手の引退に花を添えました。
試合後、フッカーの坂手淳史キャプテンは「サントリーのすごいアタックを止め切ったみんなのことを誇りに思う」と胸を張りました。堀江選手のコメントも紹介しておきましょう。
「トライを取られましたが、取られたところは“しゃあないな”という部分が多くて崩されて取られたわけではないので、ディフェンスの大きな成長を感じています。守りながら(相手の攻撃の)プレッシャーを感じなかったので、ディフェンスが機能していたと思います」
パナソニックの勝因は不用意な反則を犯さなかったことに尽きます。「規律の高さを存分に出せた」とは坂手選手。この試合、反則はサントリーの9回に対し、パナソニックはわずか5回。再び堀江選手です。
「僕たちは“クリーンなラグビーを常にしよう”と話をしていて、グレーのところではなく、確実にいけるとことで思いっきりプレーしている。常に規律を守ってやろうと。“(反則か)微妙やな”というところでは絶対やらないようにしているので、僕らは自信を持って、“反則じゃない”と思っている」
堅いディフェンスと高いディシプリン。2つのDがパナソニックをラスト・チャンピオンに導きました。
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