リーグワン・ディビジョン1で首位を走る埼玉パナソニックワイルドナイツ(埼玉WK)の今季の連勝が14でストップしました。4月15日、本拠地の埼玉・熊谷ラグビー場で行われた第15節の静岡ブルーレヴズ(静岡BR)戦で25対44と完敗。昨季の不戦敗2試合とカップ戦を除けば2018年12月以来、4年4カ月ぶりの公式戦黒星となりました。
勝敗を分けたのは両チームのモチベーションの差でした。埼玉WKは既に上位4チームまでが進めるプレーオフの出場権を獲得しています。この試合に勝てば1位通過が決まるところでしたが、仮に1位になったところでアドバンテージはありません。だからモチベーションが低かった、と言っているわけではなりません。それ以上に静岡BRのモチベーションが高かったと言うべきでしょう。
静岡BRは第14節終了時点で、勝ち点25の8位。入れ替え戦圏内の10位・三菱重工相模原ダイナボアーズ(相模原DB)との差は、わずかに5。尻に火がついているような状況です。
試合は3分、スタンドオフ松田力也選手のPGで埼玉WKが先制しました。その後は互いにトライを取り合い、18対18で前半を終えます。
埼玉WKが切り札のフッカー堀江翔太選手を投入したのは後半11分、25対25の場面です。ところが、いつものようにはうまくいきませんでした。
静岡BRは自慢のスクラム、ラインアウトを起点に得点し、埼玉WKを突き放します。終わってみれば25対44。静岡BRが3トライ以上差(静岡BR6、埼玉WK3)のボーナスポイントを獲得する完勝でした。
埼玉WKの敗因はセットプレー(セットピース)にありました。試合巧者の埼玉WKにしてはスクラム、ラインアウト絡みの失点が目立ちました。
この日に備え、静岡BRは埼玉WKのセットプレーを相当研究していたようです。以下は試合後の堀川隆延ヘッドコーチのコメントです。
<僕らは過去2戦、1点差で最後に敗れています。セットピースで優位性を保てていたことがわれわれの自信になっていました。雨の天候で、われわれに有利な状況があったと思います>(リーグワン公式HP 2023年4月16日配信)
この日、埼玉WKは11個の反則を犯しました。このように、今季の埼玉WKは反則の多さが目立ちます。昨季のリーグ戦で埼玉WKの反則数はリーグ2位の134個でした。不戦敗2試合を除けば、1試合平均ではリーグ最少の9.6個。トップリーグ最終イヤーとなった2020-21シーズンは7試合で計47個、1試合平均は6.7個です。トップリーグ、リーグワンで2季連続のフェアプレーチーム賞も受賞しています。ところが、今季の反則数は166個。1試合平均は11.1個。プレーオフに向けての課題と言っていいでしょう。
一方の静岡BRはここ一番で集中力を発揮しました。後半31分、埼玉WKウイングのマリカ・コロインベテ選手がミスを犯しました。キック処理にもたつき、ボールをタッチライン外に出してしまったのです。このボールを拾ったウイング槇瑛人選手がクイックスロー。最後はナンバーエイト庄司拓馬選手が無人のインゴールに飛び込ました。リーグワン初代王者に完勝した静岡BR、チームは大きな自信を得たに違いありません。
もっとも連勝が止まったとはいえ、埼玉WKがプレーオフの本命であることに変わりはありません。キャプテンのフッカー坂手淳史選手は<「次に何をするかが大切。悔しい気持ちをエネルギーに変えて、さらに強くなれるチームだと思います。次へ向けても良いレッスンだった>(リーグワン公式HP 2023年4月16日配信)と語っていました。
連覇を目指す埼玉WKにとって、この黒星は、プレーオフを見据える上で“いい薬”になったのかもしれません。次節は21日、東京・秩父宮ラグビー場での東芝ブレイブルーパス東京(BL東京)戦です。「埼玉の連敗は記憶にない。連敗させたチームとして名前を刻みたい」とはBL東京の共同主将・徳永祥尭選手。手ぐすねひいて待ち受ける強敵相手に、どんな戦いを見せるのか。初代王者の真価が問われます。
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