
完膚なきまでに叩きのめされました。11月1日(現地時間)、ロンドン・ウェンブリースタジアム。世界ランキング13位の日本は、同1位でW杯2連覇中の南アフリカと戦い、7対61で大敗しました。なお61失点はエディー・ジョーンズ第二次政権において、昨年10月のニュージーランド戦の64失点に次ぐ大量失点でした。
この大敗で日本対南アの対戦成績は1勝3敗となりました。
2015年9月19日 ○34対32 ブライトン
2019年9月6日 ●7対41 熊谷
2019年10月20日 ●3対26 東京
2025年11月1日 ●7対61 ロンドン
日本のラグビー関係者の中には、15年W杯イングランド大会で歴史的金星をあげた「ブライトンの奇蹟」の再現を期待した者もいたはずです。しかし、本気の南アは、淡い願望を粉々に打ち砕きました。
試合後のエディーヘッドコーチ(HC)のコメントが、全てを物語っています。
「歯が立たなかった。空中戦で負け、ラインアウトも取れず、モールでも通用せず、ボールを持った時にもすぐにターンオーバーされ、非常にタフな一戦となりました」
試合は、前半4分にラインアウトモールから先制トライを許すと、13分、18分にスタンドオフ、サシャ・ファインバーグ=ムンゴメズル選手に連続トライを奪われました。36分にはペナルティートライ(反則の繰り返しにより、プロップ竹内柊平選手がイエローカード)。0対26で前半を終えました。
一矢を報いたのは後半12分です。フルバックの矢崎由高選手がクイックスタートからの飛び出しで、トライエリア(インゴール)中央に飛び込みました。エディージャパンが標榜する「超速ラグビー」の片鱗が見えた瞬間でした。
15分以降は、ほぼワンサイド。4トライ4ゴール。その4トライはウイングのカート=リー・アレンゼ選手(元三菱重工相模原ダイナボアーズ)、フランカーのアンドレ・エスターハイゼン(元宗像サニックスブルース)、センターのジェシー・クリエル選手(現横浜キヤノンイーグルス)と、いずれも日本でのプレー経験がある選手たちでした。
「(日本でやっている時より)2倍くらい強いと感じました」とはプロップの為房慶次朗選手です。
「ファーストタックルでマウスピース(センサー内臓のスマートマウスガード)が反応して出て(交代して)しまったんですが、それも初めての経験。接点の強さを学びました」
この日のメンバーは、日本でプレー経験のある選手が半数以上を占めていました。彼らは日本の長所と短所をよく知っていました。
以下はスクラムハーフの福田健太選手のコメントです。
「プレッシャーを感じたのはブレイクダウンのところ。2枚目の選手(の寄せ)が速くて、どういう状況でもブレイクダウンに絡んでくる。(ラックから)クリーンボールを出せないようなディフェンスをされた。ディフェンスが整備されていて、簡単に穴をつくらせてくれない印象を受けました。南アフリカもミスはしますが、そのミスをミスで終わらせない。こっちがゲインラインを切ったとしても、次のカバーが速い。組織化されていた」
福田選手のコメントを裏付けたのが前半ロスタイムでのワンシーンです。南アはスクラムハーフのコーバス・ライナー選手がタックルで、ウイング長田智希選手を倒すと、すぐに2人目、3人目が体を寄せ、その結果、長田選手はノット・リリース・ザ・ボールの反則をとられました。
こうした寄せのスピードも、「超速」の一部であるなら、本来、日本が目指すものであり、今後、練度を上げていかなければなりません。
これを言っては身も蓋もありませんが、強豪国の中でも、W杯2連覇中の南アは、やはり頭ひとつ抜けているような印象があります。
だが、そんな相手であっても、「いい経験で終わらせたら、それまで。今後にどう生かしていくか大事」と福田選手が言うように、次を見据えなければなりません。
欧州シリーズの次戦は8日、ダブリンでアイルランド(同3位)と対戦します。大敗からの復元力と修正力が試されます。
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