9月8日でラグビーW杯フランス大会開幕まで、ちょうど1年となりました。ジャパンは5日から大分で合宿中です。今年の実戦機会はオーストラリアA代表(オーストラリア代表に次ぐシニア代表)との3連戦を含め、計6試合を残しています。W杯前年の状況を4年前と比較してみましょう。
まず2019年W杯日本大会前年(18年)のジャパンの戦績を振り返りましょう。
◎2018年 ジャパン戦績
・6月9日 イタリア代表 ○34対17
・6月15日 イタリア代表 ●22対25
・6月23日 ジョージア代表 ○28対0
・10月26日 世界選抜 ●28対31
・11月3日 ニュージーランド代表 ●31対69
・11月17日 イングランド代表 ●15対35
・11月24日 ロシア代表 ○32対27
3勝4敗とひとつ負け越したものの、ティア1のイタリア代表から初勝利をあげ、ジョージア代表には完封勝ちを収めました。若手主体のニュージーランド代表とはいえ、リードする場面もあり、5トライ、31得点は対オールブラックス戦最多でした。イングランド代表戦は逆転負けを喫したものの、敵地で後半19分までリードするという健闘を見せました。年内最終戦はW杯本番で対戦するロシアに逆転勝ち。この秋のシリーズを、ジェイミー・ジョセフヘッドコーチ(HC)は、こう振り返っていました。
「オールブラックス戦は苦戦すると思われたが、ベストなチームを相手にトライを獲れたことはポジティブな結果です。イングランド戦はハーフタイムまでリードしていたのに逆転されたのは残念だった。ただ最後まで諦めない精神を持って戦えたのは評価できる。(逆転勝ちした)ロシアにはミスを挽回して勝つことができた」
成長を実感したジャパン。「非常に大きな成果があったシーズンだった」とは当時強化委員長を務めていた薫田真広さん。翌年のW杯日本大会での躍進につながる1年でした。
ジャパンを取り巻く環境は4年前とは大きく変わりました。2日、都内で行われた記者会見でジョセフHCは「前回に比べてチームは遅れをとっている」と率直に語りました。
「前回と今回が違うのは、コロナで1年空いてしまったこと。スーパーラグビーで自分たちのパフォーマンスを確かめ、成長することができなくなった。それにより自分たちの環境をつくって選手たちを成長させてきた」
4年前と比較すると、秋の代表合宿に招集した選手は35人から52人と大幅に増えました。50人以上の大所帯となったことについては、ケガで万全でない選手がいることに加え、新型コロナウイルス感染で選手が離脱した場合のリスクマネジメントが主な理由です。
「遅れをとっている」原因は実戦機会の減少です。W杯日本大会の2年前(17年)は、アジアラグビーチャンピオンシップ4試合を含む11試合だったの対し、20年は新型コロナ感染拡大の影響を受け、1試合もテストマッチを実施できませんでした。またスーパーラグビーに16年から参戦していた日本チーム(サンウルブズ)が20年を最後に撤退。クラブレベルでも強豪国・地域との腕試しの機会が失われました。
ジャパンはこの空白を埋めるべく、今年は11試合(ジャパン予備軍であるNDSのメンバーで構成した試合も含む)を組みました。夏は国内でプレーするトンガ出身選手を中心に構成された「TONGA SAMURAI XV(トンガ・サムライフィフティーン)」とのチャリティーマッチ(ジャパンはNDSで構成)を皮切りに、ウルグアイ代表とフランス代表と2試合ずつ戦いました。
秋は10月1日から国内でオーストラリアA代表と3週連続で戦い、中14日の同29日にニュージーランド代表を東京・国立競技場で迎えます。その後のヨーロッパ遠征では11月12日(現地時間)にイングランド代表、同20日にフランス代表と敵地で対戦。計11試合中、ティア1のチームとは5試合を戦います。4年前は7試合中4試合がティア1相手でした。
日本ラグビー協会の土田雅人会長は「フランス代表と年に3試合もやるなんて10年前は考えられませんでした。こういう試合をもってこれる力が日本にはある」と胸を張ります。
秋のラスト3試合の相手はニュージーランド代表、イングランド代表、フランス代表というティア1かつ、W杯フランス大会の優勝候補。「試せることを試して、今できることをしっかりやっていきたい」とジョセフHC。特にフランス代表戦はW杯本番で使用するスタジアム・ド・トゥールーズで行われます。「若い選手は、エキサイティングに感じているはず。フランスの地でプレーすることで選手たちも新しい領域にいけるんじゃないかと思います」。残り6試合、“実りの秋”に期待しましょう。
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