ラグビー界にとっては4年越しの“悲願達成”です。全国民が注目するユーキャン新語・流行語大賞の年間大賞は、W杯史上初となるベスト8進出を果たしたジャパンのスローガン「ONE TEAM」に決まりました。
ジェイミー・ジョセフヘッドコーチ(HC)が「ONE TEAM」を掲げたのは3年前の10月です。就任後初となるテストマッチのメンバー発表記者会見で、チームスローガンの意図を説明しました。
「9月1日に来日して以来、全員がひとつになって目標に向かっていくためのスローガンを考えてきました。それも、自分ひとりで考えるのではなく、選手たちと一緒になって考えていくべきだと感じ、1回目のミニキャンプの際にリーダー陣と相談を始めました。どんなチームにしていきたいのか、どんなラグビーをしたいのか、ファンのみなさんからどういう存在だと思われたいのか。そんなテーマで選手たちに自分たちで考えてもらいました」
ONE TEAM。私の解釈はこうです。誰にでも居場所と役割と出番のあるチーム。ジェイミーHCは全5試合でリザーブを含めた23人全員をピッチに送り出しました。23人から外れた選手たちもスカウティングや練習パートナーとしてチームに惜しみない協力をしました。
選考委員会が公表した授賞理由はこうでした。
「ジョセフ氏はチームに必要な選手たちを国籍問わず招集し、31人の代表選手を選んだ。どんな強豪チームでも選手たちの思い、心がひとつにならなければチームとして機能しない。7カ国15人の海外出身選手を含む31人はリーチ・マイケル主将を中心に桜の戦士ONE TEAMとして結束し、快進撃を続けた。ONE TEAMは、世界に広がりつつある排他的な空気に対する明確なカウンターメッセージであるとともに、近い将来、移民を受け入れざるを得ない日本の在り方を示唆するものとなった」
実はラグビー界の大賞受賞は4年前に「初」となるはずでしたが、これは幻に終わっています。2015年、大賞候補にあがっていたのは「五郎丸(ポーズ)」でした。
言うまでもありません。W杯イングランド大会で優勝候補の南アフリカを破るなどジャパンが3勝をあげたイングランド大会の主力選手・五郎丸歩さんが見せたプレースキックの際の忍者のようなポーズが評価されたのです。それを真似する子どもたちが増えたことで随分、話題を集めました。
ところが、実際に大賞を受賞したのは、「爆買い」と「トリプルスリー」でした。なぜ「五郎丸(ポーズ)」は外れたのでしょう。
内幕を暴露したのは、当時の審査委員長であるフリージャーナリストの鳥越俊太郎さんです。3年前に出演したTV番組で、こう明かしていました。
「事務局が選出した約50語を各審査委員が採点します。それを集計し、トップ30に絞り、最終的にトップ10、年間大賞を決定するんです。(2015年は)五郎丸さんだった。衆目の一致するところで、“大賞だよね”って」
ところが、五郎丸選手サイドから「予定が入っていて表彰式に出席できない」という連絡があり、急遽、先の2つに変更になったというのです。
「トップ10はいいのですが、大賞については、誰も来なかったら式が盛り上がらない。主催者が、きっちりした式にしたいというね。それで急遽、“五郎丸”が外れ、代わりにみんなで四苦八苦して“トリプルスリー”と“爆買い”になったんです」
なんとも締まらない話です。表彰式に出席できなければ選ばれないというのでは<この賞は、1年の間に発生したさまざまな「ことば」のなかで、軽妙に世相を衝いた表現とニュアンスをもって、広く大衆の目・口・耳をにぎわせた新語・流行語を選ぶとともに、その「ことば」に深くかかわった人物・団体を毎年顕彰するもの>(公式HP)という立派な主旨が泣きます。
以上は、あくまでも、私の“独り言”です。今回の「ONE TEAM」に対し、異存のある人は、そうはいないでしょう。2021年秋のプロ化をにらみ、ぜひラグビー界には「ONE TEAM」の体制を維持してもらいたいものです。
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