現地時間11月24日、ロンドン郊外のトゥイッケナムで世界ランキング13位(24日時点=以下同)の日本代表は、同7位のイングランド代表と対戦し、14対59で敗れました。これで今年の日本代表のテストマッチ戦績は4勝7敗。日本よりランキング上位の相手には6戦全敗でした。
日本は前半9分から32分の間に4トライ4ゴールを献上してしまいました。いずれもイングランドが得意とするラインアウトモールからの失点でした。
終わってみれば9トライを奪われ、14対59の完敗でした。
ゲームキャプテンを務めたスクラムハーフ齋藤直人選手は「前半20分、30分間はセットプレーからのペナルティー、ディフェンスで規律を守れず、そこからタッチに出されてモール。その悪循環を繰り返してしまった」と声を落として語りました。
センター梶村祐介選手のコメントも合わせて紹介しましょう。
「正直、どこでボールをとるというプランがなく、相手のエラー待ちになっている。ディフェンスのゴールが見えないことは、やりながら感じています」
報道陣から、エディージャパンのオフェンスとディフェンスの練習時間の割合を問われると、「どちらかというとアタックの方が多く、7対3くらい。強豪に50点以上失点している試合が続いている中、ディフェンスに早く手をつけないといけないと思うが、練習を含めてフィールドで反映されていない」と答えました。
まずはディフェンス面を改善し、失点を減らしてからアタックに移行というのが梶村選手の考えのようですが、それが反映されるかどうかはわかりません。
エディー・ジョーンズヘッドコーチ(HC)は<「ジャパンは世界でトップのアタッキングラグビーができるチームになれると信じている。アタックがよくなれば、自ずとディフェンスもよくなる。アタックで世界一になること。ここには自信を持っている」>(「スポーツ報知WEB版」2024年11月26日配信)と自らのやり方に自信を持っているようです。
エディージャパンには今年6月、2人の日本人スタッフが加わりました。ひとりはチームディレクターの永友洋司さん、もうひとりはチームディレクター補佐の廣瀬俊朗さんです。とりわけ廣瀬さんは、第1期エディー政権で、2012年から13年までの2年間キャプテンを務めていたこともあり、誰よりも指揮官の性格や考え方がわかっていると思われます。
かつて廣瀬さんが興味深い話をしてくれました。
「キャプテンにはある程度、人望や人格が必要だけれども、監督には必要ない。能力と情熱だ」
それはエディーHCのことを念頭に置いているのかと聞くと、苦笑を浮かべてこう答えました。
「確かにエディーさんは気性の激しい人で、私も何度となく衝突しました。でも“日本のラグビーを変えたい”という根本の思いが一緒だったから、ついていくことができたんです」
それから随分、時間がたちましたが、エディーHCが急に「人格者」になったとは思えません。また、それを求める人もいません。
出戻りの指揮官に現状で求められているのは3年後のW杯に向け、自身が金看板に掲げる“超速ラグビー”完成の目処を示すこと、要するに歩留まりの可視化です。そこが見えないから、アタックが先かディフェンスが先か、という話になってしまうのではないでしょうか。
もちろん、それはどちらも重要なもので、AかBかという単純な話ではありません。しかし下記に示すように、秋のテストマッチではランキング上位国に大量点を献上しました。フランス戦とイングランド戦は敵地でのゲームだったとはいえ、守備網の再構築は喫緊の課題のように映ります。
10月26日 ニュージーランド代表 ●19対64
11月9日 フランス代表 ●12対52
11月16日 ウルグアイ代表 〇36対20
11月24日 イングランド代表 ●14対59
それでもエディーHCは<「我々は未来への大きな投資をしている。厳しい経験を重ねて学ぶことでしか強くなれない。勝つためには負けることも必要」>(「スポニチアネックス」2024年11月26日配信)と強気な姿勢を崩しません。できれば投資回収のポートフォリオを示してもらいたいものです。
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