12月9日にスタートする3季目のリーグワン。開幕を前に、各チームが続々と新体制を発表しています。昨季5位でプレーオフトーナメント進出を逃した東芝ブレイブルーパス東京(BL東京)は、キャプテンにリーチマイケル選手が復帰しました。ジャパンではW杯2大会連続(2015年イングランド、19年日本)でキャプテンを務めたリーチ選手ですが、所属するBL東京では、意外にも10シーズンぶり2度目となります。
新体制発表会見で、ヘッドコーチ(HC)就任5季目を迎えるトッド・ブラックアダーさんは、こう語っていました。
「昨季は期待したとおりの結果を得られず、非常に悔しいシーズンに終わった。チーム全員が尊敬し、その背中を見てついていきたくなるリーダーが必要だった。リーチはチーム愛を表現してくれる。そして最も大切なのは行動でみんなを引っ張っていけることだ」
リーチ選手の、ジャパンでのリーダーシップは誰もが認めるところです。だがBL東京でのキャプテンは13-14シーズンの1度きり。昨季終了後にもオファーを受けましたが、「即刻断った」そうです。今回はどういう風の吹き回しでしょう。以下はリーチ選手のコメントです。
「ここまできて、ただ勝ちたい気持ちが一番強い。シンプルに自身のパフォーマンスを重視する。HCが言った通り、ベラベラしゃべるのではなく、プレーで見せたい」
まさに「オレの背中を見ろ」と言わんばかりです。背中というHCの言葉を聞いて、女子サッカー日本代表元キャプテンの澤穂希さんを思い出します。
「苦しくなったら、私の背中を見て」
この名言が飛び出したのは、ドイツとの2008年北京五輪3位決定戦前でした。場所はロッカールーム。メダルへの思いを、先輩から順番に口にしていきます。順番が回ってきた澤さん、「ここまで来て、もう何も言うことはありません」と語り、こう続けました。
「苦しいのはみんな一緒。もし苦しくなったら私の背中を見て。そして、私と一緒に頑張ろうよ」
6歳下の後輩・宮間あやさんは、そのスピーチを聞いて体が震えたそうです。
「他のお姉さん方が自分の思いを伝えてくれる中、澤さんは短い言葉で私たちに語りかけてくれた。“私の背中を見て”と。あの言葉は今でも忘れることができません」
結局、この試合、0対2で敗れ、メダルを胸に飾ることはできませんでしたが、この3年後のドイツW杯で、日本は一気に世界一へと駆け上がるのです。もちろん、この時のなでしこジャパンのキャプテンは澤さんでした。
その澤さん、自らが考えるリーダーシップについて、こう語っています。
<ベテランとして、キャプテンとして、チームを引っ張っていくリーダーシップが私には求められていますが、私の場合、口で「ああして、こうして」と言うのではなく、実際に率先して自分がやっている姿を見せるようにしています。グラウンドで自ら表現することが、私の一番の仕事だと思いますし、その姿を見せることが一番、説得力を持って伝えられる方法だと思っています>(自著『夢をかなえる。』徳間書店)
性別、競技の違いはあれ、リーチ選手と澤さんに同型のキャプテンシーを感じるのは私だけでしょうか。今では少なくなった、不言実行型のリーダーです。トップリーグ時代の、09-10年シーズン以来のリーグ制覇を狙うリーチ率いるBL東京に注目です。
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