12月3日から10日にかけて行われたワールドラグビーアワード2021で、“今年の顔”が決定しました。男子15人制年間最優秀選手賞はフランス代表のアントワン・デュポン選手。2年後に自国開催のW杯を控える25歳のスクラムハーフに栄えある称号が加わりました。
デュポン選手は一般投票で3分の2の支持を得て、イングランド代表ロックのマロ・イトジェ選手、オーストラリア代表フランカーのマイケル・フーパー選手、サム・ケレヴィ選手ら日本でも馴染みのある選手たちを抑えてMVPに輝きました。
受賞に際し、デュポン選手は以下のようなコメントを「ワールドラグビー公式Twitter」に寄せています。
「信じられない。過去の受賞者の中にフランス代表は2人。ファビアン・ガルティエとティエリー・デュソトワールです。しかし(リッチー・)マコウと(ダン・)カーターは3度受賞しています。彼らはレジェンド。その賞を私が受賞するなんて“本当に私で大丈夫?”と思ってしまいます。この賞に値するため、これからも一生懸命頑張っていきたいと思います」
デュポン選手は身長174センチとラグビー選手の中では小柄な部類に入りますが、筋骨隆々の体躯で当たり負けしない強さが売り物です。20歳で代表デビューを果たして以降、“レ・ブルー”(フランス代表の愛称)の主力を担っています。
22歳で出場した19年W杯日本大会、フランスはベスト8に終わったものの、若手主体で臨んだチームの象徴的存在となっていました。ここまで代表通算35キャップ。所属先のトゥルーズでは、昨季(20-21年シーズン)チームを2冠に導きました。「本当に私で大丈夫?」と謙虚なデュポン選手ですが、この秋からはフランス代表の主将を任されるなど今やレ・ブルーの顔です。ヨーロッパ各地で4週にわたって行われたオータム・ネーションズシリーズでのフランスの3連勝にも貢献しました。
ワールドラグビーHP(2021年12月10日配信)は、デュポン選手について、こう紹介しています。
<試合を読む力、パスの速さ、ペースの速さを兼ね備えており、フランスの流れるような攻撃の起点や終点には、必ずと言っていいほど適切な場所にいます>
日本ではスタンドオフの選手を「司令塔」と呼ぶのが一般的ですが、元ジャパンのスクラムハーフでフランスでもプレーした経験を持つ村田亙さん(現・専修大学監督)によると、フランスにおいてはスクラムハーフこそが司令塔だそうです。
「フランスでは司令塔が9番。フランス風に言うとパトロンなんですよね。パトロンとなって、FWの猛獣たちを使いながら、良い球をBKに供給する。その猛獣たちに言うことを聞かせ、動かせるところがスクラムハーフの醍醐味なんです」
今年11月20日、約8万人の大観衆が詰め掛けたサンドニのニュージーランド代表戦でもデュポン選手のプレーは光りました。7対6でフランスリードの12分、連続攻撃で敵陣へ侵入。ラックからのボールをデュポン選手はワンテンポずらして、スタンドオフのロマン・ヌタマック選手にパス。これにより混乱が生じたニュージーランドの守備ラインをヌタマック選手が突き、そのままインゴール右中間に飛び込みました。コンバージョンキックも決まり、14対6と突き放しました。
後半に入り、ニュージーランドに27対25と2点差まで迫られた後も、デュポン選手のプレーはひときわ精彩を放っていました。
22分、自陣インゴールからのカウンターアタック。ほぼ最後尾から味方のサポートに回り、パスを受けると22メートルライン付近までボールを運びました。その後、味方が右サイドに展開すると、相手はたまらず反則。決定機を阻止したフランカーのアーディー・サヴェア選手にシンビンが科され、10分間の退場を余儀なくされました。このPGをジャミネ選手が決め、30対25と突き放しました。
さらに26分には、自陣左22メートルライン付近での体を張ったディフェンスで、ニュージーランドの攻撃を阻止し、反撃の芽を摘みます。フランスはその後も加点し、40対25でニュージーランドから12年ぶりの白星をあげました。
W杯フランス大会開幕まであと21カ月。レ・ブルーの“猛獣使い”は虎視眈々とシルバー・コレクター(1987、99、2011年)返上を狙っています。
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