9月開幕のW杯フランス大会に向けた強化合宿が千葉県浦安市でスタートしました。リーグワンとの兼ね合いで、準備期間は例年より短い3カ月弱。7月からは場所を宮崎県に移し、仕上げにかかります。
浦安に集まったメンバーは36人の代表組。故障者も含まれる10人の候補選手は、参加できる選手から随時合流しています。合宿2日目、メディアに対し、トニー・ブラウンアシスタントコーチが口を開きました。
「前回のW杯で、選手たちはそれまでに達したことのないフィットネスでプレーをすることができ、それが勝利に繋がった。今回もそのレベルに達しないといけない」
合宿初日、2日目には、スポットコーチとして参加しているジョン・ドネヒューさんの指導の下、タックル練習が行われました。
選手たちの声を拾ってみました。
「タックルセッションがとにかくヤバイ。バックスとフォワードに分かれて1時間ずつやるのですが、結構根性が鍛えられる。技術的なことだけではなくメンタルが鍛えられるトレーニング。他にも馬跳びをして(他の選手の)下をくぐる練習は誰かができなかったらやり直しというメニューもある。どちらかというと昭和的要素があります」(流大選手)
「コーチが『ストップ』と言うまで、1時間ぐらい水も、休みもなし。死にそうになっています」(山中亮平選手)
流選手が思わず口にした「昭和的」という言葉が印象に残りました。
この言葉から何を連想するか。理不尽、不条理、あるいは非科学的……。多分にネガティブなニュアンスを含んでいる言葉ですが、チームがひとつになる上で、こうした練習は欠かせません。
2015年W杯イングランド大会前、エディー・ジョーンズヘッドコーチ(HC)の下、“地獄の宮崎合宿”を経験した大野均さんから、かつてこんな話を聞いたことがあります。
「どうすればチームはひとつになれるのか。それはきつい練習をチーム全員で経験し、その記憶を共有することです。2015年のイングランド大会で、最終スコッドに入れなかった選手までもが、最後まで気持ちをひとつにすることができたのは、全員がきつい時間を共有したからだと思っています。ラグビーは理論や戦略だけで語れるものではありません。“これだけきつい思いを共有したんだ。誰が選ばれても、オレは認める”と納得することができました。あの宮崎ではじめてエディー・ジャパンは真のワンチームになれたんです」
この宮崎合宿には、笑うに笑えない次のようなエピソードも残っています。
以下は、ある選手から聞いた話です。
「ある日、午後の練習がキャンセルになったため、飲みに行った選手がいた。すると翌朝4時に部屋の電話が鳴った。“オマエ、昨日どこに行っていた。何考えているんだ!”と。その中に大野均さんもいたのですが、“オマエは飲んでもパフォーマンスが変わらないから、飲んでもいい。ただし次からは1人で飲め”と言われそうですよ。
また、こんなこともありました。食堂にケーキが並んでいたので、太っている選手が食べると、“なんで食べたんだ!”とエディーに怒られた。どうやら自分をコントロールできるかどうかを確かめるトラップだったみたいです(笑)」
さて、ジェイミー・ジャパンに話を戻しましょう。練習グラウンドの浦安D-Parkのゴールポストを覆うクッションには「絆(BOND)」「導く(LEAD)」「勇気(COURAGE)」とともにチームスローガンである「Our Team」の文字が刻まれていました。選手から“戦士”へと変貌を遂げる18日間です。
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