W杯日本大会開幕まで残り50日を切りました。ジャパンは先月27日に開幕したパシフィックネーションズカップ(PNC)でフィジー、トンガに連勝するなど、本番に向け好調ぶりをアピールしています。
フィジー戦で2トライ、トンガ戦で1トライをあげ、存在感をアピールしたのが松島幸太朗選手です。これまでジェイミー・ジャパンではフルバックで起用されることの多かった松島選手ですが、この2試合はウイングで起用されました。トライゲッターとしての役割を期待されてのことです。
ジェイミー・ジョセフヘッドコーチ(HC)は松島選手を「Xファクター、つまり特殊能力を持つ選手」と高く評価しています。ジェイミーHCの言う「Xファクター」とは卓抜したスピードとステップワークを生かした突破力を意味します。前回のW杯イングランド大会の代表メンバーである大野均選手は松島選手のステップワークを「消える」と評していました。
「彼には驚かされたことがあります。練習で対峙すると、目の前から消えるんです。それぐらい鋭いステップなんです。これは相対した者にしかわからない感覚だと思います」
松島選手はジンバブエ人の父と、日本人の母を持つハーフです。花園で約100メートルを独走するトライをあげるなど、2010年度の桐蔭学園高の全国制覇(同校優勝)に貢献しました。そのズバ抜けたスピードと突破力は、卒業後、南アフリカのチームでプレーしたことでさらに磨きがかかりました。スーパーラグビー・シャークスの下部組織に2年半所属し、力を付けたのです。
4年前、松島選手に独特のステップワークについて訊ねました。
「南アフリカには素晴らしいステップをきる選手がたくさんいたので、それを取り入れてオリジナルな形にしたんです。これから、もっと経験を積んで、吸収できるものは全部吸収して、バージョンアップしていきたいと思っています」
PNCの2試合では、「Xファクター」ぶりを遺憾なく発揮しました。フィジー戦では前半19分にスクラムハーフの茂野海人選手とのサインプレーで相手の裏をかき、トライを奪いました。2つ目のトライとなった後半15分の得点は、文字どおり本領発揮でした。
そのシーンを改めて振り返りましょう。敵陣やや右で相手がボールをキープ。そこにセンターのティモシー・ラファエレ選手がタックルを浴びせ、ボールがこぼれました。すかさず反応した松島選手は左足でボールを蹴り出すと、フィジー守備陣の裏へと抜け出しました。さらに右足のインサイドでボールを蹴り、前進すると、追いかけてくる相手にうまく身体を入れながら絶妙なコース取りをキープしました。右足のアウトサイドで右前方に蹴り出すと、そのままインゴールに転がるボールを抑え込み、見事なドリブルトライを決めました。
またトンガ戦では反応の速さが光りました。後半32分、スタンドオフの田村優選手が守備ラインの裏にグラバーキック(グラウンダー)を送ると、右サイドへ転がるボールが跳ねました。縦に走り込んでいた松島選手が瞬時に反応し、すぐさまランニングコースを内側に取りました。そのままボールを掴むと、スピードに乗ったまま敵を置き去りにし、インゴールに飛び込みました。
ジャパンの攻撃の切り札に成長した松島選手に対し、大野選手は「もう何も言うことがない」と手放しで褒めています。
「彼自身も“オレは世界で通用する”という自信と“オレはジャパンの軸だ”との自覚を持っているはずです。ここにきて安定感が出てきましたし、味方からすれば本当に頼もしい存在ですね」
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