スタートから1勝3敗と出遅れた昨季リーグワン王者のエンジンが、ようやくかかってきました。2月24日、クボタスピアーズ船橋・東京ベイは、大阪・花園ラグビー場で行われた第7節の花園近鉄ライナーズ戦に56対19で大勝、プレーオフ進出圏内の4位に浮上しました。
スピアーズはスタンドオフのバーナード・フォーリー選手が第3節の静岡ブルーレヴズ戦で故障し、第4節の東芝ブレイブルーパス東京戦から欠場しています。オーストラリア代表76キャップのベテラン司令塔の不在は、チームにとって大きな問題です。ブルーレヴズ戦では、途中からセンター立川理道選手がスタンドオフのポジションに入りました。
2月24日のライナーズ戦、立川選手に代わって「10」をつけたのは、早大から入団して5シーズン目の岸岡智樹選手でした。大阪府出身の岸岡選手にとって花園ラグビー場は自分の庭のようなものです。
<「まったく知らない会場よりも単純に物理的な見た目も分かっていますし、やり慣れているグラウンドです」>(「リーグワンHP」2024年2月25日配信)
前半7分、先制トライをあげた岸岡選手、16分にビッグプレーが飛び出します。ライナーズスタンドオフのクウェイド・クーパー選手が自陣インゴールから蹴ったボールを、スピアーズのフルバック、リアム・ウィリアムズ選手がキャッチし、パスをも受け取るや40メートルの距離があるにもかかわらず、迷わず右足を振り抜きました。ライナー性のボールは追い風に乗って一直線にゴールポストの間を通過。貴重な3点を追加しました。
<「2トライを取って、12対0でしたが、セーフティーリードの15点目を取りたいというのがありました。相手もここから巻き返したいという中でのイグジットでしたが、タッチラインを出なかった。そこをしっかりと沈められたのは判断としても良かったです」>(同前)
岸岡選手は後半3分にもトライをあげ、スピアーズの大勝に貢献しました。
以下はフラン・ルディケヘッドコーチの岸岡選手評です。
「立川選手が12番で、岸岡選手が10番。彼らのコンビネーションは良いし、2人が出るとアタックのオプションも増える。彼(岸岡選手)は(クロスボーダーラグビーの)チーフス戦で良かったので使いましたが、今日のパフォーマンスも良かったと思います」
岸岡選手にとって昨季のリーグワン優勝は素直に喜べるものではありませんでした。公式戦の出場はゼロ。ラグビー選手は試合に出てナンボです。
今季はスクラムハーフにケガ人が続出したため、第5節のコベルコ神戸スティーラーズ戦ではスクラムハーフとして途中出場しました。慣れないポジションでのプレーが、本職に戻ってから生きたといいます。
岸岡選手は語りました。「自分が10番で出ている時、9番に対し、“こういうこと考えているのかな”と予測できるようになり、9番に対してもいい声掛けができるようになったと思います」
第6節のリコーブラックラムズ東京戦では、後半4分、HIA(脳震盪チェックによる一時退出)でピッチを退いた立川選手に代わり、急遽司令塔を任されました。利き足の右足で蹴ると見せかけて、左足でドロップゴールを狙うなどスキルの高さを披露しました。「高校時代から両足で蹴られるのがスタンダードとして指導を受けていました」と本人。これは大きな強みです。
その2週間後に行われたクロスボーダーラグビーのチーフス戦では、スタンドオフとして今季初のスタメン出場。2トライを演出したロングパスが光りました。
いずれは“代役”から“主役”へ――。岸岡選手は、そんな思いを胸に秘めているのではないでしょうか。ますます目の離せない26歳です。
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