
8月25日、埼玉パナソニックワイルドナイツが2025-26シーズン開幕に向け、熊谷市内のさくらオーバルフォートで全体練習をスタートしました。4シーズンぶりの王座奪還へ、選手たちはバックスコーチから昇格した金沢篤ヘッドコーチ、アンバサダーから役職変更となった堀江翔太フォワードコーチらとともに汗を流しました。前々回に続いて飯島均シニアゼネラルマネジャーのインタビューを掲載します。
――11シーズンにわたって指揮を執ったロビー・ディーンズ監督が退任(エグゼクティブアドバイザーに)。後任には彼の下で6シーズン、バックスコーチを務めた金沢篤さんが就きました。
飯島均: これは我々が準備してきたストーリーのひとつですね。昨年、一昨年の練習を見ていただくとわかるんですが、主に指揮を執っていたのは金沢さんでした。今後は練習に限らず、金沢さんがリードしていく場面が増えていくでしょう。金沢さんには、ロビーさんの下、この6年間で学んだものを生かし、自身の考えるラグビーを存分に発揮していただきたいと思っています。
――金沢新ヘッドコーチが、バックスコーチとしてワイルドナイツに加わったのは6年前です。
飯島: 私が印象的だったの、それ以前の金沢さんが慶應義塾大学のヘッドコーチだった時です。ある日、慶大が熊谷ラグビー場のBグラウンドで試合をしました。グラウンドコンディションの関係で、“試合の約30分前まではスパイクではなくアップシューズを使用してください”という事前通達がありましたが、慶大の対戦相手はスパイクでウォーミングアップを行っていた。これを見た金沢さんは埼玉県協会や関東協会の幹部に対し、猛抗議したんです。スポーツ界やラグビー界は、上下関係の色が濃く、上に忖度する傾向がある。そんな中、金沢さんは毅然とした態度で、正論をぶつけていた。その姿に、彼の芯の強さを感じ、感動すら覚えたんです。
――それは素晴らしいエピソードですね。
飯島: だから、金沢さんがワイルドナイツに来ていただけるという話になった時、私は大賛成でした。彼の芯の強さはワイルドナイツの価値観、モノの考え方と根本的に似ていると感じていましたから。情熱に溢れ、とても頭が切れるという印象です。
――金沢さんの選手キャリアは大学まで、トップリーグでのプレー経験はありません。
飯島: 日本ラグビーでは、選手の実績が、そのままコーチの実績であるように見られがちですが、選手の適性と指導者の適性は必ずしも一致するわけではありません。世界のトップスポーツを見れば、現役時代の輝かしいキャリアなどなくても指導者として成功している人はたくさんいます。その意味でも日本ラグビー界に、金沢さんが新たな風を吹かせてくれることを期待しています。
――金沢さんとは、バックスコーチとゼネラルマネージャーという関係の時期もありました。金沢さんからフロントに対する要求はありましたか?
飯島: 私の方に直接、ああしてほしい、こうしてほしいという要求はなかった。ぐちを言うタイプではないし、淡々と物事を進めていくイメージです。冷静沈着で論理的に考える部分と、先ほどお話した熱い部分を併せ持った方ですね。
――OBの堀江さんはフォワードコーチとして現場に戻ってきました。アンバサダーを務めていた昨シーズンもスポット的に練習に参加してアドバイスを送っていました。
飯島: そうです。彼は日本ラグビーの歴史の中で、数本の指に入る特別な選手。よくラグビーを知ってるし、なおかつすごく人を惹きつける力を持っています。今のワイルドナイツには、彼のラグビーナレッジや求心力が必要。彼のフォワードコーチ就任はチームにとって、大きなプラスになること間違いなしです。
――さらには女子日本代表のバックスコーチとしてW杯イングランド大会に帯同中のベリック・バーンズさんの入閣(バックスコーチ)も発表されました。
飯島: ワイルドナイツで6シーズンプレーしたバーンズさんが、チームに戻ってきたこともうれしい。昨季、ワイルドナイツは山沢京平という新しい10番(スタンドオフ)で戦いました。バーンズさんは、スタンドオフとしてオーストラリア代表51キャップを記録した名選手。山沢のさらなる成長を手助けしてくれるでしょう。またバーンズさんは物事を俯瞰視でき、論理的に話せる方。そして人の心に入ってくるのがうまい。堀江さんとはまた違ったタイプの求心力を持った指導者です。
――新生ワイルドナイツのコンセプトは?
飯島: それは「多様性」でしょう。金沢さん、堀江さん、バーンズさんら多様性のある新体制だと思っています。選手は生まれた国が違ったり、バックグラウンドも違う。そういうチームをまとめる上において、キーになるのは多様性。それもワイルドナイツらしさだと思っています。金沢さんをはじめ、堀江さん、バーンズさんら指導者たちが、選手やチームを成長させ、大きな成果をあげてくれると信じています。
<飯島均(いいじま・ひとし)プロフィール>
1964年9月1日、東京都出身。現役時代のポジションは主にフランカー。府中西高を経て大東文化大に進む。大学4年の時、大学選手権優勝を経験。三洋電機(現・埼玉パナソニックワイルドナイツ)に入社。95年度の全国社会人大会初制覇を最後に現役を引退した。96年度から99年度まで三洋電機の監督を歴任。その後、2001年から03年までラグビー日本代表のコーチを務め、05年度からは三洋電機に復帰した。08年度より再び監督に就任し、日本選手権の連覇を3に伸ばし、10年度には悲願のトップリーグ初優勝に導いた。ラグビー部長、ゼネラルマネジャーを経て、現在はシニアゼネラルマネジャーを務める。
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