日本ラグビーフットボール協会は6月29日、新役員人事を発表しました。森重隆さんが副会長から新会長に昇格し、副会長の1人にはヤマハ発動機ジュビロ前監督の清宮克幸さんが名を連ねました。そして専務理事には男子7人制日本代表の岩渕健輔ヘッドコーチ(HC)が選任されました。
当初は岡村正会長の続投が既定路線と見られていました。ところが今年4月、名誉会長を務めていた森喜朗さんが組織の若返りを訴えて辞任しました。岡村前会長は 80歳。67歳の森重隆新会長を除く4人の副会長はいずれも70歳を超えていました。今回、選任された役員全員が70歳以下です。
最大の注目人事は清宮副会長です。「清宮には10回くらい会いました」。新会長が授けたミッションは「トップリーグの改革」でした。
それを受け、清宮さんは、こう抱負を述べました。「日本ラグビーの未来をつくっていきたい。攻めるべきものは攻め、守るべきものは守るが、まず先に攻めないとダメだと思っている。攻める部分を僕がリードしたい」
国内最高峰のリーグであるトップリーグについては、2021年度以降、各8チームずつの3部制に衣替えする、と既に一部のメディアが報じていますが、新体制下、この案がそのまま通るかどうかはわかりません。私見を述べれば、12チームずつの2部制の方がいいように思われます。理由は二つあります。一つは12チームの方が、より全国展開に近づくこと。二つ目は、企業の中に「2部までならともかく、3部ではメディアに取り上げられることも少なく、会社としての資金援助が難しくなる」(トップリーグ所属チーム幹部)との声があることです。新体制は、どのような枠組みを提示するのでしょう。
専務理事に任命されたのは43歳の岩渕健輔さんです。岩渕さんはケンブリッジ大学留学のキャリアに加え、イングランドとフランスでプレー経験があります。エディー・ジョーンズHCの下、日本協会のゼネラルマネジャー(GM)を務め、ニュージーランド、スコットランド、ウェールズなど“ティア1”の強豪国とのテストマッチ実現に尽力しました。
日本協会が抱える課題の一つに、W杯後の強化の具体策が挙げられます。スーパーラグビーは 2021年度から日本チームの除外が決まっています。参加を目指していた新国際大会ネーションズ・チャンピオンシップは大会そのものが成立しませんでした。
岩渕さんも、清宮さん同様、「攻めの姿勢」で臨む意向を示しています。
「何かに乗っかるのではなく日本協会がつくっていく交渉が必要。世界ではいろいろな大会がありますが、これまで日本が主導権を握ることはなかった」
その言やよし、です。一方で懸念材料もあります。岩渕さんは男子7人制代表HCも兼ねています。現場との兼任について、岩渕さんは「物理的に難しい」としながらも、「前向きな意味でトライをしなければいけない。覚悟を決めてやり切る」と話していました。
「ラグビー協会そのものを他のユニオン(協会)に勝てるユニオンにしていかなければいけないと思っております。ユニオンが世界一にならないと代表チームが世界で一番になれない。協会としてはガバナンスやコンプライアンスをしっかりと徹底しながら意思決定のスピードを高め、世界のユニオンと戦えるようにしていきたい」
森新会長が「黄門様」なら、「助さん、格さん」の役どころが清宮さんと岩渕さんと言ったところでしょうか。アジア初のW杯の追い風に乗り、協会改革に大ナタを振るってもらいたいものです。
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