さる5月8日、日本ラグビー協会は同月20日に長野県上田市でスタートする「15人制男子トレーニングスコッド菅平合宿」(菅平合宿)のメンバー33人を発表しました。メンバーの約4分の1を大学生が占めました。
この菅平合宿は、日本代表の宮崎合宿(6月6日に全体集合)、国内テストマッチシリーズ(イングランド代表、マオリ・オールブラックス、ジョージア代表、イタリア代表)に繋がる1次合宿的な位置付けです。
なぜ、そのメンバーに大学生が8人も入ったのでしょうか。それはエディー・ジョーンズヘッドコーチ(HC)が若手育成に力を入れているからに他なりません。
エディーHCは第1次政権(2012~15年)時から若手の抜擢に積極的で、代表合宿などにも高校生・大学生を招集していました。15年W杯イングランド大会には藤田慶和選手(現・三重ホンダヒート)、福岡堅樹さん2人の現役大学生を最終スコッドに入れました。
昨年12月に行われたHC就任記者会見でも「大学ラグビーの選手が“もっと上にいきたい”とモチベーションを高める工夫が必要になる」と話していました。
将来の日本代表選手を育成するエディーHC肝入りのプロジェクト「JAPAN TALENT SQUADプログラム」(JTSプログラム)は既にスタートしています。
4月25日に行われた第1回プログラムで、エディーHCはこう語りました。
「2023年以降のことを考えると、変化を加える必要があることは間違いなかった。特に日本代表は年齢が高い傾向があった。若い選手をどこから手に入れるかというと大学。彼らに準備をスタートさせないといけない。今日は2027年W杯への第1日目の準備でした」
このJTSプロジェクトに参加した14人のうち6人が、今回の菅平合宿に招集されました。
ところでエディーHCと言えば、スパルタ指導者のイメージがあります。だが、JTSプログラムでメディアに公開されたトレーニングでは、エディーHCが「イイヨ!」「ジョウズ!」と笑顔で選手たちに語り掛けるシーンが目に付きました。
練習後、エディーHCは“変身”の理由をこう明かしました。
「20年前のコーチングは『これをやりなさい』と言えば、みんながそれに従うスタイルだった。しかし、今の若い世代へのコーチングは、彼らの強みをいかに引き出すかという手法に変わってきている。いくつかの選択肢を与え、それを自分自身で選んでやってもらうようにしている」
選手たちの印象はどうだったのでしょう。JTSプログラムに参加した早稲田大学2年のウイング/フルバック矢崎由高選手は「僕たちを見てくれていると感じますし、優しいです」と感想を述べました。
その一方で、こんな感想を口にする選手もいました。早大4年のフッカー佐藤健次選手は、今年2月の福岡合宿、4月のジャパンフィフティーンのサモア遠征、JTSプログラムに参加し、今回の菅平合宿にも呼ばれました。
「理不尽な怖さは感じませんでしたが、ただ力を抜くことは許さないし、そこをきちんと見ていると感じました。例えば、サモア遠征の練習で、あるグループが100%の力を出さず80%ぐらいのプレーを見せていた。すると、『アゲイン』と約3セットの追加を命じました。それだけ細かいところまで詰める方なんだと驚きました」
4月のJTSプログラムでは笑顔が目立ったジョーンズHCでしたが、「彼らに宿題を与えた。どれくらいやってくるか、しなかったら問題。その時には笑顔じゃなくなるかもしれない」とクギを刺すことも忘れませんでした。鬼から仏に変わったと決めつけるのは、まだ早計のようです。
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