大健闘と言っていいでしょう。今季、リーグワン1部に昇格した三菱重工相模原ダイナボアーズ(相模原DB)が第5節終了時点で3勝1分け1敗、勝ち点15の5位に付けています。過去にトップリーグ1部を3季(2019‐20シーズンは第6節で中止)経験していますが、通算2勝1分け23敗だったことを考えれば、上々のスタートです。
1月25日現在、総得点はリーグ8番目、失点の少なさはリーグ6番目。上位6チームの中で唯一得失点差がマイナスと、見るべき数字はありません。逆に言えば、誇れる数字がなくても勝ち点を掴んでいることが、粘り強く戦う相模原DBのラグビースタイルを表していると言えます。
1月22日にホームの神奈川・相模原ギオンスタジアムで行われた第5節、静岡ブルーレヴズ(静岡BR)との試合では“らしさ”を存分に発揮しました。
4分、ラインアウトのモールを起点にトライを奪われた相模原DBは、スクラムで相手に押され、ブレイクダウンでも強いプレッシャーをかけられ続けました。
追いかける相模原DBはスタンドオフのジェームス・シルコック選手の正確なプレースキックで得点を重ね、後半6分に16対14と一度は逆転しました。しかし、3分後に逆転トライを許すと、その後は追いかける展開に逆戻りしてしまいます。
相模原DBは23分、シルコック選手のPGで5点差に迫るも、28分に自陣でのマイボールスクラムで痛恨の反則を犯してしまいます。ここで得たPGを相手に決められ、再び8点差に。さらに33分、敵陣左で獲得したラインアウトでジャンパーがフッカーのボールをキャッチできず、チャンスを生かせません。
しかし、ここから相模原DBは粘りを見せます。36分にPGを決め、5点差に迫ると、猛攻を仕掛けます。止められても止められても、静岡BRが築く青い壁に立ち向かっていきます。
そして試合終了間際の40分、センターのヘンリーブラッキン選手が体を反転させながらインゴール左中間にボールを置きました。TMO(ビデオ判定)のチェックが入ったものの、トライ。これで27対27。最後のコンバージョンキックは外れたものの、会場に詰め掛けたファンから大きな拍手が送られました。
試合後、グレン・ディレーニーヘッドコーチ(HC)が「(7点差以内の)ボーナスポイントを取れないところから、最後の5、6分で自分たちの粘り強さを見せることができた」と選手たちを称えれば、キャプテンの岩村昂太選手は「プレシーズンから培ってきたフィットネスが最後の5、6分で出せた」と胸を張りました。
7月に始動した相模原DBは、ディレーニーHCの下、ハードなトレーニングを積んできました。岩村選手によれば、「吐く人もいれば、足をつる人もいた」というほど。チーム最年長の38歳・安江祥光選手も「90分間戦えるくらいの練習をしている」と語っていました。
「どこのチームよりも走り、どこのチームより厳しい練習をしている自信がある。そこから生まれてくるチームの一体感。それはどのチームより強いと思います」
チームの一体感が垣間見えたのが、試合終了直後のシーンです。勝ち越しがかかるキックを外し、ガックリと肩を落とすシルコック選手にチームメイトが次々に駆け寄って行ったのです。安江選手は「Smile!」と声を掛けました。肩を叩く選手、ハグをする選手もいました。
岩村選手は言います。
「シルのキックがなければ逆転のチャンスはなかった。彼にチーム全員がリスペクトを置いているからこそ皆が慰めに行った。ああいう時こそチームの色が出る。キャプテンから見ても“いいチームだな”と思いました」
ワン・フォア・オール、オール・フォア・ワン――。ラグビーの世界で、しばしば登場する言葉ですが、それをどこよりも強く実感させてくれる相模原DBです。
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