日本ラグビー協会は21日、秋の代表活動(9月~10月の国内合宿、10月のオーストラリア代表戦、11月の欧州遠征)に向けメンバー44名を発表しました。その内訳は日本代表候補39名、ナショナル・デベロップメント・スコッド(NDS)5名です。
メンバー発表にあたり、ジェイミー・ジョセフヘッドコーチは、こう説明しました。
「今回のチームは、若さと経験がしっかりと組み合わされており、グループ全体に強さと深さがあります。何人かの若い選手は初めてチームに合流となります。我々はこのグループには可能性があり、今後の日本のラグビー界で一緒に活動していきたいと考えています。これらの選手から最終メンバーに選ばれることも十分にあり得ます」
藤井雄一郎ナショナルチームディレクター(NTD)も次代を担う選手たちに期待を寄せます。
「次の世代を上手く、ポジションも含めて入れ替えていきたい。彼らも次のW杯に出られる可能性も十分あると思うので、どのくらいのエネルギーを持っているか、この合宿で見てみたいと呼びました」
今回は聞き慣れないNDSについて説明しましょう。NDSは<将来日本代表に選出される可能性のある高いポテンシャルを持った人材を招集し、日本代表のマインドセットを共有する>ための、いわゆるサブチームです。NDSに選ばれた選手は、次世代のジャパン候補生と言っていいでしょう。今回選ばれた5人の中に、昨季日本一に輝いた埼玉パナソニックワイルドナイツの福井翔大(ふくい・しょうた)選手の名前がありました。
「将来、代表に絡んでくる選手なので、早いうちに招集し、いろいろな経験を積んでほしい」とは藤井NTD。合宿でのアピール次第では、10月以降のテストマッチで起用される可能性もあります。
21歳の福井選手は高校ラグビーの強豪・東福岡高校を卒業後、大学を経ずにトップリーグ(TL)入りした異色のキャリアの持ち主です。ラグビーのエリートコースは通常、強豪高校→強豪大学→TLという道を歩みます。しかし、福井選手は強豪大学からの誘いを断り、いきなりTL強豪のパナソニックに加わりました。「自分が成長するために一番いい選択と思った」というのがその理由でした。
1年目こそリーグ戦1試合の出場にとどまりましたが、2年目は6試合でピッチに立ちました。3年目の昨季は主にフランカー、ナンバーエイトとしてリーグ戦全7試合に出場。プレーオフでも、交代出場ながら全4試合に出場し、攻守に身体を張ったプレーでチームの2冠達成に貢献しました。
とりわけ、その献身的なプレーが光ったのは、サントリーサンゴリアス(現東京サントリーサンゴリアス)とのTLプレーオフ兼日本選手権決勝です。
サントリーに28対19と迫られた直後、後半32分の場面です。敵陣で相手がボールを回す中、猛プレッシャーをかけてノットリリース・ザ・ボールの反則を誘いました。このPGを味方が決め、12点差がつきました。福井選手のジャッカルが逆転を狙うサントリーの勢いを止めたように映りました。
福井選手を入団時から知る飯島均GMは、シーズン終了後、「最も成長を感じた選手」に彼の名をあげました。
「これほど成長するとは驚きです。私は今、彼がジャパンの中に入っても他の選手と遜色ない活躍をすると思っています。この数年ですごい選手になることを予感させる活躍でしたね。彼の持っているギャップを突く能力に加え、ボールキャリー、ジャッカルといった働きぶりはチームにとって不可欠なものでした。また今季の活躍で相当自信をつけた。来季の福井は、さらにフィーバーすると思いますよ」
フィーバーとは、いささか古い表現ですが、飯島GMの期待の大きさが窺えます。合宿前に22歳を迎える福井選手にとっては“成長の秋”となりそうです。
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