ジャパン史上最多の98キャップを誇り、先日引退した大野均さんと言えば、酒豪揃いのラガーマンの中でも横綱クラスです。今回は酒にまつわるエピソードを紹介しましょう。
大学からラグビーを始めた大野さんは、26歳で代表初キャップを刻んで以降、長年にわたってジャパンを支えてきました。98キャップのハイライトと言えるのが15年のW杯イングランドW杯大会の南アフリカ戦でしょう。現イングランドヘッドコーチのエディー・ジョーンズさんに率いられたジャパンは1次リーグ初戦で強豪の南アフリカを破り、世界中から“ブライトンの奇跡”と称賛されました。大野さんはロックでスタメン出場を果たし、持ち前の体を張ったプレーでジャイアント・キリングに貢献しました。
快挙達成後のある日、大野さんは街のパブに繰り出しました。
「軽く2、3杯飲んで帰るつもりが、店内にいるお客さんから次々に“ジャパンの大野だろ? オレのおごりだ。飲め!”と言われたんです」
海外のラグビーファンからの“熱烈歓迎”に大野さんも応えます。次から次へと注がれるビールを空にしていき、「気がついたら20杯くらい」飲み干していたそうです。
大野さんは引退会見でも酒にまつわるエピソードを口にしました。
「ジャパンに入ったばかりの頃、フランス遠征に行ったことが印象に残っています。日本からホテルの宿舎まで24時間をかけて移動しました。着いた頃にはもうヘロヘロ。さすがに寝るだろうと思っていたら、同部屋の伊藤剛臣さんが着替えていました。そして“今から飲みに行く。オマエもついて来い”と言ったんです。ロビーに降りたら箕内(拓郎)さんもいた。“こういうタフな人たちがジャパンで活躍できるんだな”と思いましたよ」
そういえば、いつだったか大野さん、こんなことも話していました。
「ニュージーランドではラグビーがうまい選手ほど、酒が強いそうです。東芝ブレイブルーパスにいた元オールブラックス(ニュージーランド代表)のリチャード・カフイも酒が大好き。おそらく、内臓が強く、体もタフということなんでしょう。アスリートは食べることも仕事のうちですから、消化吸収が早い方が、力がつくのかもしれません」
東芝の元同僚で、エディー・ジャパンの同僚でもあった廣瀬俊朗さんからも、大野さんの“酒豪話”を聞きました。3学年後輩にあたりますが、大野さんを“キンちゃん”と呼ぶほど親しい間柄です。
「ある日、ロックのポジション別練習が急遽キャンセルとなり、伊藤鐘史さんと真壁伸弥とキンちゃんの3人がこっそり夜飲みに行ったそうです。ところが、エディーさんに全部バレていて、翌朝4時半ぐらいにウエイトルームに呼び出されました。“オマエら、昨日どこ行っていた! 何を考えているんだ!”と怒られたそうです」
エディーさんには「飲酒はパフォーマンスを下げる」という持論がありました。ところが、この話には続きがあります。
「酒を飲んでもパフォーマンスが落ちない選手を3人知っている。ヴィクター・マットフィールド、ジョージ・スミス、キンちゃん」
そしてエディーさんは大野さんの方を向き、こう言ったそうです。
「オマエは飲んでも変わらないから、いくら飲んでもいい。ただし1人で飲め。他の選手はパファーマンスが落ちるから誘うな」
元南アフリカ代表のマットフィールドさんはW杯4大会に出場を果たした2メートル1センチの巨漢ロックです。また主にフランカーでプレーした元オーストラリア代表のスミスさんはトップリーグのサントリーサンゴリアスでも活躍し、ジャッカルの名手として知られています。ともにキャップ数は100を超えます。酒豪として、この2人と並び称されたわけですから大野さんからすれば名誉でしょう。
ジャージーを脱いだ今、もう明日のことを考える必要はありません。「酒量が増えそうですね?」と問うと大野さん、「節度を持ち、楽しい範囲で飲みたい」と語っていました。
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