トップリーグを終え、ジャパンが動き始めました。大分での強化合宿を終えたジャパンは12日に静岡でサンウルブズ、26日にはスコットランド・エディンバラに乗り込みブリティッシュ&アイリッシュ・ライオンズ、7月3日にはアイルランド・ダブリンでアイランド代表と対戦します。
今回の合宿ではスクラムに注目しました。初のベスト8進出を果たした2年前のW杯日本大会では、アイルランド、スコットランドにも押し負けませんでした。統制の取れたスクラムを作り上げたのは、自らを「エンジニア」と呼ぶ長谷川慎アシスタントコーチです。その長谷川コーチ、スクラムの重要性をこう説きます。
「例えばバックスがボールを落としたり、ラインアウトで相手に取られたりすることは、単なるミスと割り切れる。でも、スクラムでボールを失うと精神的にきつい。力で負けたことになるので、チーム全体が精神的な不安を引きずるんです」
5月28日からスタートした合宿。スクラムのリーダー格であるプロップ稲垣啓太選手は、新チームの手応えをこう口にしました。
「合流初日(30日)にスクラムを組んだのですが、4年前、初めて集まったキャンプでは最初から100%のスクラムを組むことなんてできなかった。およそ統率が取れていませんでしたから。しかし今回は新しい選手を含め、しっかりスクラムを組むことができた。それだけスタンダードが上がっているということでしょう」
報道陣から「どんなスクラムを目指しますか?」と問われた稲垣選手、「世界一のスクラムを目指します。もちろん」と言い切りました。
「前回のW杯では、世界一のスクラムを持った南アフリカにセットピースでコントロールされ、それが原因で負けたと思っている。そこを超えない限り次のステップにはいけない。世界一の相手に通用する世界一のスクラムをつくりあげていきたいですね」
南アフリカ戦、ジャパンはマイボールスクラムで9回中8回もボールキープに成功したものの、ラインアウトを含めたセットピースでは主導権を握られました。前半4分に許したトライも、自陣での相手ボールスクラムからウイングのマカゾレ・マピンピ選手に走り切られたものでした。セットピースで体力を消耗させられたジャパンは3対26と完敗。彼我の差を見せつけられました。
大会後、長谷川コーチは「あの試合でW杯で優勝するチームのレベルが分かった。今後はそれに対してどうするかというところがカギになってくると思います」と語っていました。
「世界一のスクラムを目指す」と豪語した稲垣選手、「目的としては、マイボールでも相手ボールでもプレッシャーをかけること」と語り、こう続けました。
「これからテストマッチで戦うライオンズとアイルランド、そしてW杯で対戦するイングランド。どこもセットピース、スクラムでペナルティーを狙ってきます。こちらから仕掛けていくマインドを持つことができないと、ゲームをコントロールされてしまう。逆に我々がそこでプレッシャーをかけてコントロールすることができれば、ゲームの支配権を奪えるということです」
26日、エディンバラで戦うライオンズは、腕試しにはこれ以上ない相手です。結成されたのは1888年。イングランド、スコットランド、ウェールズ、アイルランドのトッププレーヤーを集めた4年に1度のドリームチームです。ジャパンを相手にするのは今回が初めてです。
FWにはウェールズ代表のキャプテンを務めるロックのアラン=ウィン・ジョーンズ選手、W杯日本大会準優勝に貢献したイングランド代表ロックのマロ・イトジェ選手などビッグネームが揃っています。スクラムの熟練度こそ低いかもしれませんが、個々の能力はそれを補って余りあります。
「ライオンズはスクラムで仕掛けてくると思います。ペナルティーを取って、敵陣のコーナー付近に蹴り出し、モールを組んでスコアしていきたいでしょうね。ヨーロッパの試合を見ていると80%以上がモールからの得点です。彼らは確実にペナルティーを取りにくる。それに我々は立ち向かわないといけません」と稲垣選手。アウェーの地で“百獣の王”に一泡吹かせたい新生ジャパンです。
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