昨季王者が崖っぷちで踏みとどまりました。15日、東京・秩父宮ラグビー場でのリーグワン第10節。7位のクボタスピアーズ船橋・東京ベイが5位の横浜キヤノンイーグルスに逆転勝ちした一戦は、最後まで目の離せない好勝負でした。これによりスピアーズは順位を6位に上げ、プレーオフ進出圏内の4位コベルコ神戸スティーラーズとの勝ち点差を7から3に縮めました。
試合前の時点で7位のスピアーズ(勝ち点22)と4位スティーラーズとの勝ち点差は7。スピアーズがプレーオフ争いをしている5位イーグルス(勝ち点28)に負ければ、3季連続のプレーオフ進出は、限りなく難しくなります。
窮地を救ったのは、1月中旬に合流したばかりのフッカー江良颯選手でした。8対26と18点ビハインドの後半7分、ピッチに姿を現しました。まずは37分、ラインアウトモールからインゴール右に飛び込み、リーグワンデビューとなった前節のトヨタヴェルブリッツ戦に続き、2試合連続でトライをあげました。
試合終了間際には、ウイング根塚洸雅選手へパスを出し、逆転トライを演出しました。バックス顔負けの正確なパスでした。中学時代にスタンドオフを経験したことが卓抜のパススキルに生きています。
言うまでもなく江良選手は今年1月に大学選手権3連覇を達成した帝京大学の主将です。身長170センチ、体重107キロ。セットプレーの要としてチームを牽引し、明治大学との決勝では、ラインアウトモールから2トライをあげました。
リーグワンは昨季より現行のアーリーエントリー制度を導入しました。これにより大学4年生は大学選手権終了後、チームに加わることが可能になりました。江良選手はこの制度を利用して、チームに合流しました。
試合後、報道陣から「加入から約2カ月、新鮮に感じていることは?」と問われると、こう答えました。
「全部ですね。フィジカル、ウエイトでも負けますし、体の当て方も今まで通りやっていてはダメ。ブレイクダウン(の圧力)が僕自身一番違うと感じています。少しでも遅れたら、すぐにジャッカルされますし、スピードも速い。普段の練習から違いを感じます。フィジカルの強さも大切ですが、相手にその強さをどう出させないかというのが大事かなと。真正面でそのまま、まっすぐ当たっていては絶対に勝てない。いろいろなスキルを駆使して、どうやっていくかを考えています」
イーグルス戦後の記者会見で、江良選手について聞かれたスピアーズのフラン・ルディケHCは「毎試合良くなっているし、特にボールキャリー、接点の強さでインパクトを見せてくれています。後半の大事なところでスクラムを組み、大きな成長を見せてくれている」と好評価を与えました。
立川理道キャプテンもこう絶賛しています。
「見てわかるように、大学卒業間際で、あのパフォーマンスができるのはすごい。人間としてもいいヤツですし、クボタの将来を担う人材だと思います。明るいですし、堅苦しくないし、まるで2、3年、チームにいるような雰囲気もあります。コミュニケーションを取るのも上手いし、チームにもエナジーを与えてくれています」
これだけ評価が高いと、代表入りの時期が気になります。クレバーで的確、そして“遊び心”のあるプレーを見ていると、つい帝京大の先輩でもある堀江翔太選手(埼玉パナソニックワイルドナイツ)の後継者として活躍している姿が頭に浮かんできます。実際、堀江選手に憧れ、高校からフォワードの第一列(1、2年はプロップ、3年からフッカー)に転向したという江良選手。偉大な先輩の背中を追う日々が続きます。
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