5月18日に東京・秩父宮ラグビー場で行われたリーグワン・プレーオフトーナメント準決勝は、埼玉パナソニックワイルドナイツが横浜キヤノンイーグルスを20対17で下し、3季連続の決勝進出を決めました。後半13分に逆転を許しましたが、イーグルスの勢いもそこまで。イーグルス沢木敬介監督は「勝負どころを分かっているワイルドナイツの方がひとつ上手だった」と脱帽せざるを得ませんでした。
後半13分のイーグルスの逆転トライは22メートルライン手前でボールを受けたスタンドオフ田村優選手の鋭いパスが起点となりました。左へ展開し、最後は大外を走るウイング竹澤正祥選手がインゴール左隅に飛び込みました。
その時、後半6分から出場していた堀江翔太選手は、フィールド上で選手たちに「ブルー、ブルー」と声を掛けていたそうです。言うまでもなくブルーはワイルドナイツのチームカラーです。ちなみに堀江選手が三洋電機(現ワイルドナイツ)に入団した2008年時、チームカラーはレッドでした。11年に三洋電機がパナソニックの完全子会社となり、チームカラーもパナソニックのコーポレートカラーのブルーに一新されました。
試合後の記者会見で、キャプテンの坂手淳史選手がブルーの意味を明かしました。
「チームでは自分たちがセーフティーな状況にいたり、ゲームを支配するなど、良い状態にいたりすることを“ブルー”と呼んでいます。相手の時間帯が来るときもあるし、しんどい時間帯もある。そこを一人ひとりで解決するのではなく、全員でコネクションをはかり、問題を解決していく。それが今週のテーマでした。(逆転された後)堀江さんを中心に『ブルー』という声がよく聞こえていました」
堀江選手には、別の狙いもあったようです。「コミュニケーションが少なかったので、落ち着こうと。今日は暑くて、“自分でなんとかせなアカン”と思い、皆ひとりになってしまっていた。そんな時こそ皆にしゃべらせることが大切で、無駄なしゃべりを多くしました」
色彩心理学的にも、ブルーには落ち着きをもたらす効果があると言われています。空や海など自然を想起させ、副交感神経が刺激される、というのがその理由です。
ワイルドナイツにビッグプレーが飛び出したのは、4点を追う後半19分です。松田選手が相手守備網のスキを突き、ビッグゲイン。そのままトライまで行くかと思いましたが、イーグルスも必死に食い止めにかかります。最後は松田選手からボールを受け取ったセンターのダミアン・デアレンデ選手がインゴール中央に飛び込みました。コンバージョンキックも決まり、20対17と再逆転に成功します。
こうなれば、試合はワイルドナイツのものです。30分、22メートルライン内に侵入されたものの、フランカーのベン・ガンター選手がジャッカル。相手のノット・リリース・ザ・ボールの反則を誘いました。
2分後にもフランカーのラクラン・ボーシェー選手がジャッカル。その後インゴール目前まで迫り、追加点こそ奪えませんでしたが、敵陣で攻撃を続けることで時間を稼ぎました。選手たちの心理状態はずっと「ブルー」のまま。ワイルドナイツの選手たちにとっては精神安定剤のような言葉でした。
さて2年ぶりのリーグワン制覇を目指すワイルドナイツの決勝の相手は、東京サントリーサンゴリアスとの“府中ダービー”を制した東芝ブレイブルーパス東京。リーグ戦では36対24とワイルドナイツが勝利しましたが、後半38分までは、どう転ぶかわからないような内容でした。ブレイブルーパスはシーズンを通じて「接点無双」を体現し続けています。最後の1秒まで目が離せない決勝となりそうです。
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