日本ラグビー協会は15日、来年1月に開幕予定の新リーグの概要を発表しました。新リーグはトップリーグ(TL)とトップチャレンジリーグに属する25チームが参加し、3つのディビジョンに分かれます。ディビジョン1は今季のTLと比較すると、4チーム減の12チームとなる見通しです。
ディビジョン1は12チームを2つのカンファレンスに分けて行います。カンファレンスごとの6チーム総当たり2回戦と、別カンファレンスとの交流戦を総当たり1回戦で実施し、1チーム16試合による勝ち点で順位を決めます。
新リーグ法人準備室の谷口真由美室長は、ディビジョン1を12チームにした理由を15日のオンライン会見でこう説明しました。
「ホスト&ビジターというのが今回の新リーグの一丁目一番地の施策だと考えている。ホストの試合を開催することでチームの皆様が事業をして収益を得るという機会がなければ、事業性は担保できません。その意味で、総当たり戦を2回行うことでホストの試合を確保していくことになります」
今回発表した新リーグの主要な方針は以下の4つです。
(1)高質で均衡した試合の醸成
(2)ホスト&ビジター形式の実施
(3)分かり易いフォーマット
(4)一定期間固定化し、段階的発展
プロ野球は「ホーム&ビジター」、サッカーJリーグは「ホーム&アウェー」、これに対してラグビーの新リーグは「ホスト&ビジター」。独自の呼称を用いるところに、新リーグに対する意気込みが窺えます。
新リーグが、この「ホスト&ビジター」を重視しているのは、参入要件の中にホストエリアの決定、ホストスタジアムの確保を盛り込んでいることからも明らかです。
ホストエリア、ホストスタジアムという言葉から浮かび上がってくるのは「地域密着」の重要性です。この理念を、この国で最初に掲げたのはJリーグ初代チェアマンの川淵三郎さん(日本トップリーグ連携機構会長)です。
一昨年11月、さいたま市で行われた「スポーツビジネスジャパン2019」内のパネルディスカッションで、川淵さんはこう語りました。
「ラグビーのプロ化で何が必要かと言うと、ホームスタジアムとホームタウンです。ともかくこの2つが全ての条件の中で一番重要です。ホームスタジアムの確保をきちんとできるのか、ホームタウンをどこにするのか。逆に言えば“ホームタウンをここにしよう”と思っても、そこにホームスタジアムがなかったらチームとして成り立たない。地域の人がそのクラブを応援できませんからね」
ホストスタジアムと並んで気になるのはチーム名です。新リーグ法人準備室は地域名を冠することを条件とし、企業名を残すかどうかはそれぞれのチームの判断に委ねるとしています。
実はJリーグも発足当時、メディアの表記はマチマチでした。92年秋のナビスコカップ(現ルヴァンカップ)において、優勝したヴェルディ川崎を一部メディアは「読売ヴェルディ」と表記していました。また横浜マリノスは「日産FCマリノス」でした。名称の統一をはかるため、Jリーグ開幕前の93年、「地域名称+愛称」に統一されたのです。
ラグビーの場合、これまで「地域密着」ではなく「企業密着」でやってきたことを考えると、「地域名称+愛称」に統一されるには、もう少し時間がかかりそうです。
もうひとつ気になるのが地域性です。ディビジョン1が12チームで編成されるのはいいとして、どこかの地域に“一極集中”するようでは全国リーグの体をなしません。Jリーグは発足にあたり、それまでクラブとして実態のなかった清水エスパルスを「サッカーどころ静岡の代表」としてオリジナル10(Jリーグ発足時に加盟した10クラブ)に加えました。実力が違うチームが対戦した場合、点差の開くラグビーをサッカーと同じように考えることはできませんが、ぜひとも将来的に取り残される地域がないような見取り図を描いてもらいたいものです。
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