
打倒オーストラリアに、あと一歩と迫りました。10月25日、東京・国立競技場。世界ランキング13位の日本は同7位でW杯優勝2回のオーストラリア相手に健闘したものの、15対19で敗れました。なおオーストラリアとの4点差は、過去最少の点差でした。
試合当日の気温は13度。朝からの雨により、ピッチコンディションは、競馬風にいえば“やや重”といった状態でした。
前半は2つのトライを許し、3対14。2度のシンビンにより、ひとり少ない時間帯が13分もありました。
しかし、こうした数的不利がありながらも、2トライでしのぐことができたのは、粘り強いディフェンスの賜物です。
キャプテンでロックのワーナー・ディアンズ選手は「前半、あれだけプレッシャーかけられて、あれだけ自陣でプレーしていたのに2トライしか取られていないのは、すごく自信になった」と語りました。
特筆すべきシーンが21分です。オーストラリアに自陣奥深くまで侵入され、トライの危機を招きながら、14人で耐え抜きました。
ウイング石田吉平選手がタックルでフルバックのアンドリュー・ケラウェイ選手を倒すと、すかさずナンバーエイトのリーチマイケル選手がスティール(ジャッカル)に成功。身を挺したディフェンスに4万人を超える観客が沸きました。
ラグビー専門サイト「ラグビーパス」によると、この試合の日本のタックル成功率は96%。昨年秋のテストマッチ初戦、ニュージーランド戦はタックル成功率が76%にとどまり、大敗(19対64)の原因となりました。それを考えれば、長足の進歩です。
守備力の向上は、この夏、アシスタントコーチ(ディフェンス担当)に就任したギャリー・ゴールドさんの手腕に依るところが大です。ギャリーコーチは南アフリカ出身の58歳。イングランド、日本、南アフリカのクラブで指導歴があり、代表では南アフリカのアシスタントコーチ、アメリカのヘッドコーチ(HC)を務めました。日本では14-15シーズンの1シーズン、神戸製鋼スティーラーズ(現・コベルコ神戸スティーラーズ)の指揮を執りました。
以下はエディー・ジョーンズHCのギャリーコーチ評です。
「彼は研究し尽くす研究者のような人間です。テクノロジーを駆使し、いろいろなデバイスを買い漁って徹底的に研究する。選手たちがワクワクしながらディフェンスに打ち込むことができるのは、彼のおかげ」
具体的には何が変わったのでしょう。リーチ選手によると、ギャリーコーチからは「とにかく上がって、上がって、タックルは2人で止めろ」との指示が出ているようです。
続けて司令塔の李承信選手。
「これまでの日本は、どちらかというとアタックのマインドセットがメインでしたけど、ギャリーが来てから、クリアでシンプルなメッセージをチームに与えてくれている。世界一のアタックを目指すチームの中、世界一のディフェンスを一緒に目指していこう、と。ラインスピードを上げ、体が小さい分ハードワークしてダブルタックルをするとか、そういうところは自分たちのDNAとして形作れていると思います」
ここからが、強化の秋本番です。日本は11月1日(現地時間=以下同)にロンドンで南アフリカ(世界ランキング1位)、8日にダブリンでアイルランド(同3位)、15日にカーディフでウェールズ(同12位)、22日にトビリシでジョージア(同11位)と対戦します。オーストラリア戦の健闘を自信の糧に、世界のラグビーシーンを震撼させてもらいたいものです。
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